中池見湿地は、周囲三方を山に囲まれた約25ヘクタールの自然豊かな湿地です。市街地から約2キロの場所にありながら約3,000種の生きものが生息し、多様性あふれる生態系が育まれています。この湿地は絶滅危惧種の渡り鳥・ノジコが飛来し、希少種を含むトンボ72種が確認できる国内髄一の場所としても有名です。

また、湿地は「袋状埋積谷」と呼ばれる珍しい地形で、その地下には約40メートルにも及ぶ世界的にも希有な規模の泥炭層が確認されています。この泥炭層には少なくとも10万年分の気候変動に関する貴重なデータが含まれており、海外からも多くの研究者が視察に訪れています。

2016年1月、三井住友信託銀行は、福井市立社西小学校の6年生を対象に、ICT(情報通信技術)を活用した環境教育の授業を実施しました。授業は当社の社員がファシリテーターを務め、中池見湿地で撮影した映像教材を用いながら、中池見湿地の豊かな自然とその希少性、かつては田んぼとして利用されていた歴史、農業の衰退によって持ち上がったガスタンク基地の開発計画について説明しました。そして、その開発計画を知った地域の人々が中池見湿地を守るために立ち上がり、トラスト活動を起こしたことを子供たちに伝えました。

湿地には絶滅危惧種を含む3,000種もの動植物が生息しています 湿地には絶滅危惧種を含む3,000種もの
動植物が生息しています

「大切な自然を簡単に壊してはいけない」「貴重な湿地を守りたい」という思いで、人々がお金を出し合い土地を買い取り守ったこと、その価値が世界的にも認められ、2012年7月に中池見湿地が国際条約「ラムサール条約」の登録湿地に指定されたこと、北陸新幹線の開通ルートにも影響を与えたことを知った子供たちからは、「すぐ近くに世界的にもすごい場所があるとは知らなかった」と驚きの声が上がりました。

映像を見た子供たちからはたくさんの意見が出ました 映像を見た子供たちからは
たくさんの意見が出ました

子供たちは授業を通して、湿地が生み出す水が豊かな自然を作り出し、生きものや人間の暮らしに恵みを与えていることを学び、「地域の大切な自然・土地を守るために何ができるか」について自ら考え、意見を発表しました。子供たちからは、「自然保護のためには県外の人たちにも広くその大切さを伝える」「みんなに知ってもらえるようにポスターを作る」「実際に湿地を見に来てもらう」など、たくさんの意見が出ました。

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