お客さまに対する価値提供について

変化の激しい時代の中で、個人・法人を問わず、お客さまの資産の形成・運用や見直し、承継のニーズはますます複雑化しており、信頼できる金融機関を求めるニーズは一層高まっています。当グループは、個人・法人のお客さまのニーズを的確に把握し、幅広く専門性の高い商品・サービスを最適な解決手段としてご提案するトータルソリューションのご提供を通じ、お客さまに最大の価値をご提供する「ベストパートナー」でありたいと考えています。このため、信託・銀行機能の融合による総合力やグループ内の多彩な信託機能を効果的に活用すべく、お客さま本位の徹底に努めるとともに、高度な利益相反管理態勢を構築しています。

また、「お客さま本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー:FD)」と「お客さま満足の向上(カスタマーサティスファクション:CS)」の組織を一体化し、「お客さま本位」と「お客さま満足」を優位性の源泉としてさらに進化させるべく、業務品質の管理能力向上に向けた取り組みを強化しています。

当グループは、常にお客さまや社会から信頼され、ともに成長し続けることを目指していくため、「消費者志向自主宣言」を策定・公表しています。宣言に基づく取り組み状況は「お客さま志向経営の取り組み(2022年度)」として、毎年公表しています。

消費者志向自主宣言とは

消費者庁等が事業者に呼びかける、消費者志向経営(「消費者」と「共創・協働」して「社会価値」を向上させる経営)への取り組みに関する宣言。

フィデューシャリー・デューティー(FD)に関する取り組み

(1)フィデューシャリー・デューティーの実践

当グループがお客さまの「ベストパートナー」として、お客さまの真の利益に合致した商品・サービスを提供し、グループの業務全般にわたり、お客さま本位を実践・徹底していくために、2016年9月に「三井住友トラスト・グループのフィデューシャリー・デューティーに関する取組方針」(以下、取組方針)を策定・公表して以来、取組方針を必要に応じ改定するとともに、さらなる取り組みの強化を行っています。

グループの推進・監督体制図

三井住友信託銀行、三井住友トラスト・アセットマネジメント、日興アセットマネジメント、投信・保険ビジネス総合研究所、三井住友トラスト・ライフパートナーズ

フィデューシャリー・デューティーの実践には、お客さまから信頼される「高度な専門性」、お客さま一人一人のニーズに沿った最適な選択肢をご提示する「コンサルティングの実践」、そして「利益相反管理の徹底」が重要であると考えています。当グループでは、経営レベルから実務レベルまでの充実した組織体制を整備し、不断に取り組みの高度化を図ります。

これらの取り組みの成果についてお客さまに分かりやすくお伝えするために、「お客さまの『ベストパートナー』を目指すための取り組み状況と成果指標(KPI)」を定期的に公表しています。これらの成果指標は、投資信託および外貨建保険の「販売会社における比較可能な共通KPI」を含んでいます。

(2)利益相反管理について

当グループは、グループ各社およびその関係者による多様なサービスのご提供に伴い、お客さまの利益を不当に害することのないよう、取締役会の承認を経て「利益相反管理方針(概要)」を公表し、あらかじめ利益相反のおそれのある取引を特定・類型化の上、適切に管理しています。

また、営業部門から独立したコンプライアンス統括部が、利益相反管理統括部署として、グループ全体の利益相反管理の有効性を定期的に検証し、その結果を取締役会等に定期的に報告することで、継続的に必要な改善・指導が実施される態勢を整備しています。

利益相反管理態勢

三井住友信託銀行社外取締役

さらに、利益相反管理態勢の実効性向上を図るため、取締役会の諮問機関として外部メンバーを中心とした利益相反管理委員会を設置し、当グループの利益相反管理態勢の妥当性の検証を受けています。なお、同委員会の議事概要は継続的に公表しています。

また、スチュワードシップ(SS)活動における利益相反管理体制に関しては、利益相反管理委員会にグループの資産運用会社の外部委員会の委員を構成員とするSS部会を設置し、グループ全体のSS活動に関する情報連携、監督機能の強化を図っています。

スチュワードシップ活動における利益相反管理体制について

スチュワードシップ活動における利益相反管理体制について

利益相反管理委員会の議事概要

当グループでは、グループ全体の利益相反管理態勢の妥当性等の検証、フィデューシャリー・デューティーの取組状況の監督などを目的として、取締役会の諮問機関として外部有識者等が過半を占める「利益相反管理委員会」(任意の委員会)を設置しております(2017年6月)。

同委員会は、(1)指名委員会等の法定の3委員会、銀行グループ全般のリスクガバナンス体制の構築や高度化を担う「リスク委員会」(任意の委員会)に加え設置したもので、専業信託銀行グループとして、他の金融グループに例のない監督機能を有する委員会であること、(2)法令等で求められる利益相反管理態勢に留まらず、お客さまに安心、信頼いただける「ベストパートナー」として、ベストプラクティスとしての利益相反管理態勢、フィデューシャリー・デューティーの取組状況等を審議対象としていることといった特色を有しております。

このような特色を反映し、以下議事概要のように幅広いテーマ・内容に関し、審議しております。当グループの利益相反管理態勢の向上等に資するべく、同委員会の議事概要は継続的に公表してまいります。

利益相反管理委員会議事概要

(3)お客さまの「ベストパートナー」を目指すための取り組みの実施状況と成果指標(KPI)、主なグループ各社の行動計画等

お客さまの「ベストパートナー」を目指すための取り組みの実施状況と成果指標(KPI)

三井住友トラスト・グループでは、お客さま本位の取り組みを実践し、浸透・定着させていただくことで、お客さまから信頼され、末永くお取引きいただける、お客さまの「ベストパートナー」を目指してまいります。グループ各社における取り組みの状況をご確認いただくため、行動計画の実施状況と指標を定期的に公表するとともに、活動の推進・拡充等にあわせ随時見直してまいります。なお、2018年9月から公表しております金融庁公表の「共通KPI」に関しても、2023年3月末基準のデータを追加・更新しております。

主なグループ各社の行動計画・行動指針・成果指標

お客さま満足(CS)の向上について

(1)お客さまの声をお客さま満足の向上につなげる仕組み

三井住友信託銀行では、①全国の営業店部やコールセンター、ウェブサイトに寄せられる「お客さまの声」のほか、各種アンケートにより、多くのご意見・ご要望を頂戴しています。②年間数十万件を超えるお客さまの声などをご満足につなげていくために、お客さまの声を分析するシステム「CSお客さまの声ポータル」を活用しています。さまざまなお客さまの声を“見える化”し、“気付き”を得やすくすることで、お客さまの真のニーズにお応えしていけるよう、努めています。さらに、③お客さまからいただいたご意見・ご要望は、営業店部および本部が連携して原因の調査・分析と問題点の把握を行います。また、その結果を基に改善策を検討し、より良い商品・サービスのご提供に努めています。

三井住友信託銀行のCS(お客さま満足)推進サイクル

(2)トータルソリューションを支える商品開発力

①新商品・サービス開発に関する基本姿勢

当グループでは、2020~2022年度の中期経営計画を策定した際に、「信託の力で、新たな価値を創造し、お客さまや社会の豊かな未来を花開かせる」という存在意義(パーパス)を掲げました。信託には、その時代の課題を解決するために、信託商品を開発し提供してきた歴史があります。今後もパーパスを胸に、お客さまや社会に貢献できる商品の開発に力を注ぎます。

②新商品・サービス開発の体制

当グループは、信託銀行グループとしての専門性や総合力を強みとして、新商品・サービスの開発を進めています。三井住友信託銀行では、各事業内に新商品・サービスの開発機能を有しており、お客さまのニーズや市場動向などを踏まえ専門的知見を活用して、開発を進めています。

また、経営管理分野には信託開発部、地域共創推進部、デジタル企画部およびサステナビリティ推進部といった専担部署を設け、それぞれ信託とその関連分野、地域共創分野、デジタル分野およびサステナビリティ分野での調査研究を担い、事業横断的な新商品・サービスの開発やその支援を行う体制も構築しています。

さらに、新商品・サービス開発について役員などが協議する会議体として商品サービス委員会を設置しています。現場レベルにとどまらない中長期的な経営戦略の視点で、開発プロセスの中でブレイクスルーすべき課題や、推進するための対応策の共有を図ることを目的に、定期的に開催しています。

商品・サービス開発体制

③社員発の新商品・サービス提案「未来創造フェスティバル」

当グループでは、2018年度より「未来創造フェスティバル」(以下「未来フェス」)を開催しています。

未来フェスは、社員発のアイデアで当グループの未来を創り出すことを目的とした社内ビジネスプランコンテストです。グループ全社員がエントリー可能で、ビジネスプランの領域を問わず、新規性・意外性に富んださまざまなアイデアを募集します。最終選考では、応募者は審査員である役員および外部有識者に対し直接プレゼテーションの機会が与えられるとともに、最終選考で選ばれた応募者は自らが提案した商品・サービスの事業化に挑戦することができます。

2020年度も3回目となる未来フェスを開催し、過去2回と合計した累計の応募件数は約670件に上り、一大イベントとなっています。その中から、2019年12月に未来フェス発の第一号商品として「おひとりさま信託」がリリースされました。

④新商品・サービスの導入時審査体制と導入後管理体制

新商品・サービスを導入する際には、あらかじめ内在するリスクの有無、種類の特定・評価・管理、お客さまへの説明資料・手法など、商品や業務を継続するためにさまざまな体制整備を行う必要があります。このため、当グループでは新商品・サービスの導入時に審査を実施する体制としています。この審査プロセスにおいては、お客さまから信頼していただける商品・サービスの導入を重視し、複数の部署がさまざまな角度から検証を行います。

新商品・サービスの導入後は、商品審査委員会で審査された案件については、リスク管理の観点も含め、導入後の取り組み状況を定期的にモニタリングしています。また、商品審査委員会での審議の有無にかかわらず、環境変化などによりお客さまへの説明内容が変わることが想定される商品・サービスに対しても、適切な説明を行う観点から、定期的にモニタリングを行っています。これらの検証結果を商品審査委員会へ報告するとともに、審査時の前提条件と異なる事態が発生した場合には対応方法を協議し、その内容をリスク統括部およびコンプライアンス統括部の統括役員へ報告します。

商品審査のプロセス(三井住友信託銀行)

※1リスク統括部、コンプライアンス統括部、法務部、業務部、FD・CS企画推進部、財務企画部、業務管理部など

※2商品性を勘案し、利益相反の観点で審査が必要な場合は「利益相反管理高度化委員会」と合同開催します。

※3三井住友信託銀行の経営会議付議案件のうち当グループの経営に重大な影響を与える可能性のある新商品などについては、当社宛協議することとしており、経営会議への付議・取締役会への報告を行う枠組みとしています。

顧客保護等管理に関する取り組み

(1)基本的な取り組み方針

当グループは、顧客保護等を経営上の最重要課題の一つと位置付け、グループ各社の業務特性に応じた適切な顧客保護等管理態勢を整備するため、「顧客の最善の利益のための行動指針」において当グループの顧客保護および利便性の向上に向けた基本方針を定めています。グループ各社においては、当該基本方針に基づき、顧客保護等管理の統括部および機能に応じた管理部署を定めています。統括部署は、社内規程類の整備、定期的な取締役会等への報告など、顧客保護等管理全般を統括します。管理部署は各機能に関する態勢整備を行うほか、関係各部への指導、研修の充実などを通じ、各機能の適切性および十分性の確保を図っています。

顧客保護等管理体制

(2)顧客説明管理

当グループでは、金融商品・サービスのご提供にあたり、お客さまの理解と納得が得られるよう適切かつ十分な説明、分かりやすい情報提供を行っています。具体的には金融商品・サービスのご提供に関する「勧誘方針」や「三井住友トラスト・グループのフィデューシャリー・デューティーに関する取組方針」に基づき、適合性の原則の徹底やお客さまへの適切な情報提供等を定めた顧客説明マニュアルの整備や研修の充実などの態勢を整備しています。

特に投資信託や生命保険などのリスク性のある金融商品取引については、お客さまの理解が得られる説明が適切に行われているかなどのモニタリングを行っており、必要に応じて勧誘ルールの見直しを行うなど、お客さまの立場に立った適正な金融商品の勧誘・販売を徹底するための取り組みを行っています。

お客さまの知識、経験、財産の状況および取引を行う目的に照らして、不適当な勧誘を行ってはならないという規則

(3)顧客情報管理

当グループでは、お客さまの個人情報の保護に万全を期するための取組方針として「個人情報保護宣言」を定め、お客さまの情報を適切に管理する態勢を構築しています。当グループ内でお客さまの情報を共同利用する場合には、個人情報保護に関する法律、金融分野における個人情報保護に関するガイドライン、その他関連法令などに従い適切に対応しています。

また、当グループでは、職務上知り得た個人データを含む重要情報について守秘義務を負うことを全社員が明確に認識するよう、守秘義務に関する確約書の提出を全社員から受けています。

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