ナショナル・トラストとは

世界遺産の地・知床半島をいく

日本のナショナル・トラスト運動先駆けの地へ
知床五湖の中の二湖

知床五湖の中の二湖

豊かさと希少さが評価されてユネスコ世界遺産に登録
北海道の東端、海に向かって角のように突き出した知床半島。アイヌ語の「シリエトク(地の果て)」が語源ともいわれるこの地には、太古の時代から変わらない自然の風景が広がります。
垂直に切り立った断崖絶壁が続く海岸部分には、フレペの滝、カムイワッカの滝など、それぞれに違った風情を持ついくつもの滝が点在します。一方、内陸部には、うっそうと生い茂る原生林に囲まれて、神秘的な佇まいを見せる知床五湖。1月から3月にかけては、周囲の海を流氷が埋め尽くすなど、四季折々の魅力に満ちた雄大な眺めが、訪れる人の目を楽しませてくれます。
そしてそこに暮らすのは、エゾシカやキタキツネ、ヒグマといった野生動物たち。海岸部にはトドやアザラシ、またオジロワシやオオワシなどの海鳥も数多く生息しています。海と陸の生態系が相互に深く関連しながら育まれている、他に類を見ない豊かさと稀少さが評価され、2005年には日本で3番目のユネスコ世界遺産(自然遺産)に登録されました。
希少な自然を守ってきたナショナル・トラスト活動
この希少な自然を守ってきたのも、やはりナショナル・トラスト活動でした。その中心となったのが、知床半島の「付け根」部分に位置する、斜里町の人々です。
1970年代、「日本列島改造論」の言葉とともに日本中に起きた「開発ブーム」。1964年に国立公園に指定され、訪れる観光客の数が急増していた知床も、その例外ではありませんでした。一部の土地が不動産業者の手に渡るなど、乱開発の危機が押し寄せようとしていたのです。
植樹祭の様子

植樹祭の様子

「しれとこで夢を買いませんか」
そこで立ち上がったのが、当時の斜里町長だった故・藤谷豊氏です。
すでに英国で定着していたナショナル・トラスト活動に着目し、1977年、知床の土地を買い上げて保全するための「しれとこ100平方メートル運動」を立ち上げたのです。自分たちの力だけでは不可能でも、全国の人の支援があれば、知床の自然を守れるかもしれない、との思いに動かされてのことでした。
「しれとこで夢を買いませんか」をキャッチフレーズに、全国の人々に一口8,000円の寄付を呼びかけたこの運動は、予想をはるかに超える大きな注目を集めます。テレビや新聞、雑誌でも取り上げられ、国内のみならず海外からの視察・訪問も相次ぎました。そして、1997年には寄付金が目標額を達成。
20年間で、寄付した人の数は4万9,000人あまり、集まった寄付金は5億2,000万円にもなりました。
その後は「しれとこで夢を育てませんか」の運動として続き、買い取った土地では、「100平方メートル運動の森・トラスト」として、森と動植物を取り戻し、自然生態系の復元を目指す活動が続けられています。この活動は、1997年以降2013年3月末までの15年間でのべ15,751人が寄付し、2億7,500万円を集めています。
開発の危機にさらされた自然環境を、多くの人々の寄付によって守る、「ナショナル・トラスト」の考え方をまさに体現した知床の「100平方メートル運動」。その成功は、日本のナショナル・トラスト活動の先駆けとして、日本各地に活動が広がっていく大きなきっかけともなったのです。
森づくりワークキャンプの様子

森づくりワークキャンプの様子

女満別空港からウトロまで車で約100km程度
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