ナショナル・トラストとは

生物多様性の宝庫―英国ウィッケン・フェンへ

市民の手で守り継がれる自然環境
ウィッケン・フェンのため池に咲くアイリスの花

ため池のまわりに美しいアイリスの花が咲くウィッケン・フェン

湿地を中心とした美しく豊かな自然
英国・イングランドの東部、ロンドンから北へ車で約1時間。ケンブリッジとイーリーという2つの町の中ほどに、国立自然保護区にも指定された、ウィッケン・フェン(フェンは湿地を意味する言葉)と呼ばれる広大な湿地帯が広がります。
一歩中に入ると、あたりは一面、見渡す限りの湿地と森林、水路やため池。その美しい自然風景はまた、8,000種にも及ぶ多様な動植物のすみかでもあります。ここは、英国でもっとも豊かな生物多様性を持つ自然保護区です。中でも、カブトムシやアブ、蛾といった昆虫類の種の豊富さは圧倒的で、それだけでも約4,000種が生息しているといわれています。
周囲の湿地帯の多くが農地として開発された中、このウィッケン・フェンは自然のままの環境が残る希少な場所で、その手つかずの自然風景に惹かれ、年間4万人が散策に訪れるといいます。ビジターセンターや野鳥観察小屋などの設備を中心に、子ども向けの環境教育プログラムもたびたび実施されており、約5,000もの学校がそれに参加してきました。
英国のナショナル・トラストの地であることを示す看板

英国のナショナル・トラストの所有地であることを示す看板

保護区内には木道が整備されている

保護区内には木道が整備されている

ナショナル・トラストが守る貴重な自然

この豊かな生態系を育む湿地帯を保全し、守り継ぐ役割を果たしてきたのが、英国生まれの「ナショナル・トラスト」活動です。ナショナル・トラストとは、貴重な自然環境や歴史的・文化的資産を、市民の力で買い取ることで開発と破壊から守り、後世へと引き継いでいこうとする活動です。その運営は、趣旨に賛同する企業や市民からの寄付によって支えられています。
活動の主体となる団体「英国ナショナル・トラスト」が英国で設立されたのは1895年です。そして4年後の1899年に、自然環境保全を目的とする初めてのケースとして、ウィッケン・フェンの土地約0.8ヘクタールを購入しました。その後、50回以上にもわたって少しずつ買い足し、今ではナショナル・トラストが所有するウィッケン・フェンの土地は、約930ヘクタールにまで広がっています。

ウィッケン・フェンを守る壮大な計画
ナショナル・トラストは、現在も、さらに所有面積を広げる計画を進めています。100年規模で最終的には、ケンブリッジの町との間に約5,300ヘクタールをカバーする広大な自然保護区に発展させることを構想しているのです。
自然環境を長期的に保護していくためには、希少な場所だけでなく、周辺も含めた広大な地域を守っていく必要があります。たとえ、取得している土地そのものは手つかずのままであったとしても、その境界ぎりぎりまで開発されてしまうと、生態系レベルでも景観レベルでも影響がおよぶからです。
現在、英国ナショナル・トラストを支える会員の数は、2013年現在、390万人以上。まさに地域の、そして英国の財産として、多くの市民の手で支えられながら、ウィッケン・フェンは変わらぬ姿であり続けているのです。
ケンブリッヂ北西から車で約17マイル(約27.3km)
●行き方
ケンブリッヂ北西から車で約17マイル(約27.3km)
詳しい行き方は以下をご覧ください。(英語サイト)
ナショナル・トラスト(英国)
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