日本の平均寿命は男女ともに80歳を超えました。他方、高齢化により15~65歳までの生産年齢人口は2000年代以降、一貫して減少を続けています。

一方、左のデータを見ると、社会に出て働いている65歳以上の割合は、日本の男性では28.7%と先進国の中で最も高く、女性もアメリカと並んで高くなっています。また、年代別に労働者の適応能力を自己評価した調査では、自身の職務遂行状況を「優秀」もしくは「良好」と評価した60歳以上の労働者の割合は、働き盛りの40~50代を上回っています。長年の経験や自信に裏打ちされた高齢者の労働の質は、一般的に社会で考えられている以上に高く、高齢者が生産年齢人口の減少を補うことができることを示唆しています。

また、高齢者が働く場は会社や役所だけではありません。ボランティア参加経験を問う調査では半数近くが「ある」と回答しており、さまざまな分野で能力を生かそうと考える人が増えてきています。

近年では、企業の定年延長など、こうした状況に社会も対応しようとしていますが、まだ試行錯誤の段階です。

高齢者の高い能力と勤労意欲に見合った活躍の機会を創出していくためには、まだまだ課題がありますが、15~65歳という生産年齢人口の定義をまず変える必要がありそうです。

65歳以上労働力率の国際比較

65歳以上労働力率の国際比較

年代別 労働適応能力指数

「元気百歳百科」
出典:OECD Stat Extracts(2012)、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「70歳雇用に向けた高齢者の体力などに関する調査研究結果」(2010年3月)
年代別 労働適応能力指数

労働者が各自の職務をどれほど上手に遂行できているかを評価する「労働適応能力指数」を用いた調査結果。
「これまで働いてきた中で、最も良い時を10点とすると現在のあなたの労働能力は何点ぐらいですか」「現在の病気、障害で医師の診断・治療を受けているもの」等7つの質問に対する自己評価に基づいて、優秀・良好・標準・不十分の4段階に得点化している。

若年層と大差ない一人あたりの平均所得

国民生活基礎調査によると、高齢者一世帯の平均所得は427万であり、全世帯平均の548万とは約120万の差があります。一方で、世帯一人あたりは、子どもの独立もあり191万と、全世帯平均の208万と大差ありません。

高齢者世帯の平均所得の内訳を見ていると、約7割は年金、約2割は稼働所得(働いて得る収入)です。この中には年金を受けながら働いて稼ぐ高齢者も含まれますが、近年、公的年金制度が格段に充実してきた結果、年金だけでも生活できるようになり、年金生活者はむしろ余裕のある高齢者というイメージに変わってきたのではないでしょうか。実際、定年延長などで2014年9月現在の60~64歳までの就業率は03年比で男性は10.3%、女性は11.3%増加しているものの、65歳以上は国際的に高いとは言え、男性0.9%、女性1.9%と微増に止まっています。

このように考えると、経済的な配慮がより必要なのは、収入も低く貯蓄もない若年層かもしれません。国の調査では、生活が苦しいと回答した母子世帯が8割にもなりました。教育資金を非課税で贈与できる世代間財産移転型の信託商品がお客様からご好評を頂いているのは、こうした社会構造も背景にあると弊社では考えています。

年代別 平均所得額

年代別 平均所得額

高齢者世帯の平均所得構成割合

「元気百歳百科」
出典:厚生労働省「国民生活基礎調査」(2012)
高齢者世帯の平均所得構成割合
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