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円安による物価上昇と日銀の金融政策(2014年2月)

2013年4月、日本銀行は「2年程度の期間を念頭に置いて消費者物価上昇率+2%を実現する」ために、量的・質的金融緩和(通称「異次元緩和」)を導入しました。2015年春頃までに消費者物価上昇率を+2%まで押し上げることを日銀の物価目標としたのです。

その消費者物価上昇率(生鮮食品除く総合)は、直近2014年1月で前年同月比+1.3%となっています。異次元緩和が導入された4月は同▲0.4%でしたから、マイナスから大幅なプラスに転じたことになります。

どういう品目が消費者物価を押し上げているかという観点から、1年前と比べた価格上昇率の上位10品目を見ると、最も高かったのが輸入もののハンドバック(前年同月比+33.0%)となりました。この他、生産拠点の海外移転が進んで輸入が増えているパソコン(同+15.4%)や外国パック旅行(同+14.4%)などが上位に入っています。ここに入らなかった品目以外でも、電気代(同+8.5%)やガソリン(同+6.5%)など、上昇率はさほど高くなくても、我々の生活に及ぼす影響が大きい品目の価格上昇が目立っています。これらはいずれも円安による輸入価格の影響を受けやすい点で共通しており、今の消費者物価上昇は、円安によるところが大きいことがわかります。

ここまでの消費者物価の動きは、日銀の目標である+2%に向かって順調に進んでいるようにも見えますが、円安で進んだ物価上昇は、当然のことながら円安が進まなくなれば止まります。国内のエコノミストの多くは、ここ数カ月円安進行が止まっていることが影響し、2014年半ば頃から消費者物価上昇率も鈍化していくと考えています。見かけ上の物価上昇率は消費税率引き上げの影響で4月から一年間2%ほど押し上げられますが、この要因を除けば徐々に鈍化していくということです。この予想が正しければ、2015年春までのいずれかの時点で、日銀の物価目標達成が難しいことが明らかになるため、日銀が何らかの追加的な金融緩和措置を導入するという観測が強まるでしょう。

しかし、これに対して日銀は「+2%という消費者物価目標は達成可能である」という姿勢を崩していません。円安で値上げされるケースが増えるのを目の当たりにした人々が、今までの「デフレ慣れ」から「インフレ慣れ」に転じれば、値上げを受け入れやすくなって実際の物価上昇につながる−というのがその理由の一つです。こちらの見方が正しければ、追加的な緩和は特段必要ないということになります。

最終的にどちらが正しいかの結論が出るまでには、もう少し時間がかかるでしょう。それまでの間は、日銀の追加的な金融緩和措置があるのかないのか、あるとすればその時期や内容、規模がどうなるのかといった点に関する予測が難しくなります。他にも、日銀自身が今の+2%という物価目標にある程度の幅を持たせることによって物価目標達成のハードルを下げるという可能性も出てくるなど、金融政策に対する市場予想が変化しやすくなるでしょう。このような状況では、金利だけでなく為替の変動幅も拡大し、例えば「金融市場が追加緩和を見込んでいる時に日銀がその対応を取らないと円高になる」といったことが考えられます。

普通に考えれば、日銀の追加緩和が見込まれる状況なので円安ということになりますが、アルゼンチンやウクライナなどで通貨安や債務状況悪化の懸念が高まっていることが一時的な円高要因になるのに加えて、日銀の対応に対する市場予想の変化も不確定要因となり得ます。このため、2014年の為替レートはやや振れの大きい展開となる可能性があります。

※本資料は、作成時点(2014年2月28日現在)で入手可能なデータにもとづき当社が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

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