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韓国ウォンの下落が示唆するもの

韓国ウォンの下落に歯止めが掛かりません。直近のウォン相場は1ドル=1448ウォン(11月18日)となっており、サブプライム問題発生直前の水準(2007年7月:1ドル=918ウォン)から対ドルで約4割もウォン安となりました。対ドルで円高に振れた円との対比では、2007年7月:100ウォン=13.2円から直近では100ウォン=6.7円と半分近くまで減価しました(図1)。
こうした韓国ウォン売りの背景には何があるのでしょうか。

円ドル、ウォンドルレートの推移

韓国の対外負債残高は、2001年:2500億ドル→2007年:8200億ドルと急速に拡大しています。その中身を見ると、流出入の足が早いポートフォリオ投資(株式・債券市場への投資)と銀行の資金調達が全体の7割を占めており、流入資金が国内に止まりやすい直接投資のウェイトは約15%に過ぎません(図2-1)。
この構造は、国家規模の資金繰り難に直面しているアイスランドとやや似ている面があります。アイスランドも、ポートフォリオ投資と銀行調達の急増により対外負債残高は2001年から2007年にかけて約13倍にも膨張する中、直接投資のウェイトは10%未満に止まっています(図2-2)。対外負債残高のうち直接投資が3分の1〜半分を占め、世界の工場として存在感を高めている中国やブラジルとは対照的な姿です(図2-3、図2-4)。

韓国の対外負債残高の推移

アイスランドの対外負債残高の推移

中国の対外負債残高の推移

ブラジルの対外負債残高の推移

韓国は、グローバル経済の中ではモノ・サービスの生産拠点としてはあまり当てにされなくなっている一方、世界的な金融緩和時には限界的な運用機会と位置付けられておカネが流入し、信用収縮時にはたちまちおカネが逃げていく−という具合に、国際金融情勢の影響を受けやすくなっていると言えます。

また韓国は、80年代には新興工業国として世界の注目を集めましたが、最近は中国と日本のはさみ打ちにあっているように見えます。
韓国の国別貿易収支を見ると、対日本では赤字、対中国では黒字となっており、ともに拡大傾向となっています(図3)。これは、韓国は加工組立工程を担う中国への中間財供給拠点となっていること、その中間財は日本からの高度な部品輸入なしでは生産できないこと−によるものです。
今後、中国の生産技術が向上してくれば、韓国は中国に追い上げられる一方、最高度の生産技術を有する日本にはなかなかキャッチアップできないという、難しい立場に追い込まれる可能性もあります。

また韓国は、貿易総額(輸出+輸入)に占める中国のウェイトがOECD諸国中、最も高い国でもあります。中国経済は当面は高めの成長を維持する見込みですが、中長期的にはその持続可能性に懸念材料を抱えています。韓国経済は、中国の経済あるいは政治社会情勢に変事が生じた際には、真っ先に大きな影響を受けると言えます。

韓国の国別貿易収支の推移

韓国経済は、今回の急速なウォン安に見舞われる直前には、資源価格高騰による交易条件の悪化(=資源国への所得の強制的な移転)によって打撃を受けました。今後、金融危機が収まり(その時期はまだ視野に入ってきませんが)、世界経済が回復し、資源価格が上昇し始めると、韓国経済はまたも交易条件の悪化に悩まされるかもしれません。

このように考えると、韓国経済は、国際的なマネーフロー、世界景気、中国経済、資源価格など対外環境の影響を受けやすくなっていると言えます。潜在的には5%程度の経済成長を達成する実力を有していますが、今後は、その経済パフォーマンスも、ウォンも、韓国株式相場も振れが大きくなる懸念があります。

こうした事情は、韓国のみならず、台湾、タイ、ベトナム、フィリピンなどアジアの非資源工業国に共通しているとも言えます。今回の韓国ウォン安は、80年代の世界経済のホープ的存在だったアジアNIES、ASEAN諸国に待ち構える困難を示唆しているのかもしれません。

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