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世界同時不況下でも日本経済はまだマシか?

半年前までは、「世界景気が悪化しても日本経済の景気後退は短期かつ軽微」という見方が大勢でした。しかし今や公表される経済指標は総崩れ状態です。日本経済は世界的な経済金融危機の大波に飲み込まれ、「景気後退は短期かつ軽微」どころか「景気は急速に悪化(1月の政府月例経済報告)」しています。

ただよく観察すると、世界同時不況の中、相対的に見れば日本経済の傷はまだ浅く、健全さを残している部分があります。すなわち日本では、1.家計が信用バブルにまみれておらず、2.欧米では機能不全に陥っている短期金融市場がまだ機能しています。

2002〜2007年におけるOECD各国の住宅価格の累計変化率を見ると、サブプライムローン問題を引き起こし、今日の金融危機の発端を作った米国では43.6%上昇しました。世界的に見ればこの程度の上昇はおとなしい方で、スペインでは88.7%、フランスでは77.3%、イギリスでは61.0%もの上昇を見ました。住宅バブルは先進各国を覆っていたと言えますし、住宅バブルが崩壊する過程では、銀行・企業・家計の資産に深刻な爪あとを残すことになるでしょう。

しかし日本では、同時期の住宅価格の累計上昇率は▲18.9%とむしろ住宅デフレ。ドイツとともに、住宅バブルから逃れた稀な国だったと言えます。

サブプライムローン問題に端を発する市場の混乱で、邦銀が被った運用資産の損失は欧米大手銀行に比して軽微なものに止まりましたが、住宅ローン債権についても、その毀損は限定的なものに止まるでしょう。また、住宅価格の上昇を背景に過剰消費を行ってきた他の先進国と比べても、家計部門のバランスシートの傷みも小さいと言えるでしょう。

主要国の住宅価格上昇率の推移

欧米では、金融機関同士が疑心暗鬼になっており、短期金融市場−金融機関同士がおカネの貸し借りをする市場−がまともに機能しなくなっています。金融機関の資金繰りは、各国中央銀行の供給する資金が頼みの綱という状態です。

日本の短期金融市場でも昨年秋には緊張が高まりました。金融機関は、法律により月央〜翌月央の1か月間に一定の資金を日銀に預けることが義務付けられています(法定準備制度)。この資金は、通常は金融機関同士の貸し借りの中で捻出されますが、不足する場合には日銀からおカネを借りて賄います。

預入期間最終日における日銀貸出の残高を見ると、ほとんどゼロが続いていましたが、昨年10月には突然1兆1800億円に跳ね上がり、11月も7000億円となりました。日銀からの借り入れに頼らないと、日銀への預け金が確保できない金融機関が存在した可能性を窺わせる事象でした。

しかし12月には3400億円に減り、今年1月には4か月ぶりにゼロとなりました。米国FRBの貸出残高が1日平均約700億ドル(約6兆3000億円)にも上っていること比べても、日本の短期金融市場は落ち着いた状態にあると言えます。

一時は市場参加者の離散から発行量が減少したコマーシャル・ペーパー市場(CP市場:大手企業が発行する短期の資金調達のための約束手形)においても、高止まりしていたCPレートが低下し始め、企業金融の緊張がややほぐれてきました。

日銀貸出残高の推移

世界経済が経済金融危機から脱する道筋はまだ展望できず、国内景気も悪化の度を強めています。こうした中では、上記のような日本経済に残っている健全さも所詮は「相対的なもの」であり、「多少はマシ」という程度のものかもしれませんが、いつかは来るであろう景気回復の貴重な素地を提供するかもしれません。

※本資料は、作成時点(2009年1月21日現在)で入手可能なデータにもとづき当社調査部が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

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