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これからの景気を見る上で必要な視点

5月下旬に公表された、2009年1-3月期GDP成長率は、前期比年率▲15.2%となりました。その前の2008年10-12月期も、年率▲14.4%のマイナス成長で、この2四半期の成長率はオイルショック期よりも厳しい過去最悪の数字です。年度平均で見た成長率も、2008年度は▲3.5%と過去最低となりました。日本経済にとって、リーマン・ショックに見舞われた2008年度は、極めて厳しい年であったと言わざるを得ません。

その一方、2009年度に入ってからは、景気回復に向けた動きが増えてきました。例えば、リーマン・ショック以降、これまで見たことがないようなペースで減少した日本からの輸出や国内生産が、2〜3月を底に増加に転じています。また、一般の人が景気の現状や先行きをどの程度楽観的に見ているかを数値化したDIも回復してきています。

回復に向けた動きを示す経済指標

これらの回復に向けた動きの持続性については、まだ意見が分かれているのが現状で、本当に景気の転換点が来ているのかどうかに注目が集まる時期になるでしょう。
このような時期には、良い経済指標と悪い経済指標が混在したり、同じ言葉が異なる意味合いで使われたりすることで、景気の見方がわかりにくくなることがあります。そこで、向こう半年から1年程度の景気動向を見る上で念頭に置くべきことを、いくつかご紹介しましょう。

一つ目は、殆どの経済指標には、毎月の「振れ」があることです。ある程度長い期間の動きを見ればトレンドがわかる経済指標でも、大抵は毎月の増減を繰り返していて、一か月だけの増減では趨勢の判断ができないものが大部分を占めます。特に、これから迎える局面のように、景気の状態が不安定な時期、あるいは回復に向かっているとしてもその勢いが弱い時期には、経済指標の動きが不安定になりやすく、この傾向が強くなります。毎月の経済指標の上下に振り回されるのではなく、もう少し長い期間の動きを均して見る、あるいは他の経済指標の動きも合わせて判断するといった姿勢が必要です。

二つ目は、同じ日本経済の中でも、分野によって良し悪しが異なることです。今回の景気悪化局面では、最初に海外景気の悪化を受けて輸出が減少し、その影響で国内製造業部門の業績が悪化しました。それが企業部門全体の収益減少につながり、更に雇用情勢悪化と家計所得の減少、という順に波及しています。

上の図で見た輸出・生産の増加は、今回の景気後退局面において真っ先に悪化した分野に、明るい兆しが見え始めたことを示します。しかし、悪化の順番が遅かった雇用などは、これから更に悪化していくことは避けられないでしょう。従って、向こう半年から1年の間は、「輸出・生産部門は良くなりつつあるが、雇用部門はまだ悪化している」という状態が続くことになります。このように良い指標と悪い指標が混在する時期には、「日本の景気が良いのか悪いのか」という二元論で考えるのではなく、分野によって景気循環上の影響が波及するタイミングがずれているという背景を理解しておくと、経済の動きがわかり易くなるでしょう。

三つ目は、経済指標や金融市場の動きを評価する際に、「水準」と「方向性」を区別することです。 例えば、一時7,000円近くまで下落した日経平均株価は、5月上旬以降9,000円超で推移しています。この株価水準を、最も低かった時期を基準にして評価すると、「方向性として」大幅に回復したと言うことになります。しかし、向こう4〜5年という長い期間を念頭に置いて評価した場合には、今の水準はまだまだ低く、「水準としては」まだ回復していないと考えるのが妥当でしょう。このように、見る対象は同じでも、水準と方向性のどちらを基準とするかによって、評価は変わるのです。
今後、様々な経済指標や株価の「回復」に関するコメントや新聞記事を目にする機会が増えると思われますが、それが方向性の回復なのか、水準の回復なのかを区別しておけば、その意図がより正確に把握できるようになるでしょう。

※この原稿は、2009年5月21日時点で利用できるデータをもとに作成しています。文中の経済成長率等の数値は、今後見直される可能性があります。

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