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「間接金融から直接金融へ」の流れは変わったか

この10数年来、日本のマネーフロー(お金の流れ)における大きな潮流として指摘されるのが「間接金融から直接金融へのシフト」です。直接・間接金融というのは、金融仲介−個人等の余剰資金を、資金が不足している企業等へ融通すること−の形態を表す言葉です。

間接金融とは、資金の出し手と借り手との間に銀行が介在するもので、個人等が預けた銀行預金を元手に、銀行が企業に貸し出したり(相対型間接金融)、国や企業が発行する公社債・株式・CPを証券市場において購入したり(市場型間接金融)するものです。
直接金融というのは、資金の出し手と借り手との間に銀行が介在せず、出し手が直接、借り手に資金を供給するものです。個人投資家が証券会社の店頭で株式や債券を購入する場合がこれに当たります。

近年、日本では直接金融の存在感が高まる一方、相対型間接金融のウェイトが低下してきました。これは、

  1. 大企業が自己金融力を高めたため、銀行からの借入に頼らなくなったこと
  2. 証券市場の発達によって、企業は社債・株式・CPを発行することによって機動的に資金を調達できるようになったこと
  3. 「貯蓄から投資へ」という政策の下、個人の証券投資(つまり直接金融)が奨励されてきたこと

等によるものです。

ところが昨年から今年初めにかけての金融危機の深刻化により、企業は証券市場から円滑に資金を調達できなくなりました。株価の大幅な下落や景気の急速な悪化を見た銀行・個人は、企業の発行する株式や社債の購入に慎重になったためです。このため企業はこぞって銀行からの借入に走り、「不況下の銀行貸出増加」という珍現象が起こりました(2009年3月10日付「銀行貸出はなぜ増えているのか」ご参照)。
今後もこうした動きが持続し、「間接金融から直接金融へ」という流れも変わっていくのでしょうか。

2008年度の金融仲介の形態別金額を見ると、これまでとは異なる動きが認められます。
直接金融は、毎年20兆円超のプラス(公社債・株式等の新規発行額のほうが期限償還額より多いことを示す)が続いていましたが、2008年度はプラス幅が2.9兆円と大幅に縮小しました。一方、相対型間接金融は毎年10〜20兆円のマイナス(銀行からの新規借入額よりも銀行への返済額のほうが多いことを示す)が続いていましたが、2008年度は一転して3.8兆円のプラスに転じました。
いずれも上記のような金融危機下の動きを映じたものと言えます。

また、市場型間接金融は、2008年度は相対型間接金融を大きく上回るプラス(12.6兆円:銀行の公社債・株式等の購入額が売却額より多いことを示す)となりました。これは、投融資資産が傷んで損失を被った銀行は、企業が発行する社債・株式等の購入は控えましたが、信用リスクがほとんどなく、高水準の発行が続いた国債は積極的に購入したためです。

金融仲介におけるルート別金額の推移 (フローベース)

このように見ると、金融仲介形態における2008年度の動きは、「間接金融から直接金融へ」の流れが変わる転機というものではなく、金融危機を背景とした一時的なものと見るのが自然でしょう。
あるいは、国がその信用力で莫大な資金を吸収し、それを政府サービス・公共投資・中小企業の信用補完等の形で民間に回すという、公的部門が肥大化したいびつな金融システムが如実に表れたとも言えるでしょう。

(注)正確には銀行だけでなく、保険会社等も含みますが、ここでは簡略化のため「銀行」と表記しています。

※本資料は、作成時点(2010年6月23日現在)で入手可能なデータにもとづき当社調査部が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

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