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政権交代による経済への影響

8月末の衆議院総選挙で、民主党が政権を取りました。民主党の経済政策の最大の特徴は、公的部門の支出を削減して家計に回すのが大きな方針であることです。家計所得を増やし、個人消費を伸ばすことで景気を押し上げるのが民主党の経済政策の柱であると理解できます。

しかし、これで必ずしも景気が良くなるとは限りません。

2010年度において、民主党が支給する子供手当ての支給額は2.7兆円です。これに加えて、公立高校の授業料無料化(0.5兆円)や、ガソリンの暫定税率廃止(2.5兆円)などがあり、単純に考えると、それぞれの合計金額である5〜6兆円が家計所得の増加分ということになります(表1)。それに対して2009年度予算額に計上された各項目の中で、公共投資1.3兆円をはじめとして、合計9.1兆円を削減するとしています(次頁表2)。単純に考えると、2010年度は、家計所得が5〜6兆円増える一方で、政府部門の支出が9.1兆円減少することになります。この条件では、差し引きで国内需要は減りますから、やはり今回の政権交代は2010年度の景気にはマイナス要因になると考えざるを得ません。

表1 民主党マニフェスト工程表

表2 民主党の「節約」

2011年度以降は子供手当てが5.5兆円に増え、農家への所得補償1兆円も加わることで、家計の取り分は増加します。しかし先行きに対する不安が残っていれば、家計は受取った分をそのまま支出に回さず、その結果景気押し上げ効果は減殺されます。子供手当てが満額支給されるようになっても、それが政府の支出削減分を上回って景気にプラスに働くようになるのは、そう簡単なことではなく、社会保障制度の充実など、様々なハードルをクリアする必要があります。やはり短期的には、民主党への政権交代は景気にマイナスに働く可能性が高いと考えられます。

以上は政権交代のマイナス面ですが、当然ながらメリットもあります。
日本政府が既に巨額の債務を抱えているという現状を踏まえ、将来世代のことも考えると、短期的な景気減速には多少目をつぶってでも、正しい方向に舵を切る必要があります。民主党の狙い通り公共投資の無駄を省くことができれば、国の限られた資源を有効活用できるようになります。これは中長期的には、明らかに日本経済にとってのプラス要因です。
また、家計への分配を増やすことは、これまで公共投資という形で政府がお金の使い方を決めていたものを、家計が自ら決められるようになることを意味します。これも多くの国民にとっては良い方向への変化でしょう。GDPなどの数字には表れにくいこれらのも、決して無視できるものではないでしょう。
家計を起点にした経済政策は、効果が発現してくるまでに時間がかかります。少なくとも今回の選挙では、そのような形で景気を押し上げると宣言した民主党を、国民は圧倒的に支持しました。支持した以上、短期的な結果を求めて不満を抱くのではなく、ある程度長い目で「待つ」姿勢が必要でしょう。

※本資料は、作成時点(2009年10月6日現在)で入手可能なデータに基づき当社調査部が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

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