とっておきのマネー情報

再び進行する「デフレ」

2009年9月の消費者物価指数(生鮮食品除く)の上昇率は、前年同月比▲2.3%となりました。8月は▲2.4%でしたから、マイナス幅は若干ですが縮小しました。

消費者物価は約600の品目の価格を、ある決まった方法で加重平均して作成します。これら品目を「ガソリンなどエネルギー関連製品の価格」「食料品価格(生鮮食品除く)」「その他全て」の3つに分けて、それぞれが消費者物価全体の上昇率をどの程度押し上げた(あるいは下げた)かを見たのが棒グラフの部分です。これを見ると、8月から9月にかけて消費者物価のマイナス幅が縮小したのは、エネルギー価格のマイナス幅が縮小したためであることがわかります。

そしてエネルギー価格を変動させているのは、主にガソリンです。ガソリン価格は、資源価格高騰の影響を受けて昨年8月まで上昇し、その後下落しました。このため、前年同月比(前の年の同じ月)との比較で見た下落率が、8月から9月にかけて縮小したのです。
昨年のガソリン価格は、10月以降も下落が続きました。このため、今後もエネルギー価格の下落率は縮小し、結果として消費者物価上昇率のマイナス幅も小さくなっていくことが予想されます。つまり、消費者物価上昇率という数値を通して見た場合、この先はデフレ色が薄れていくということです。

消費者物価指数の動き

しかし、エネルギー価格や食料品は、昨年夏まで続いていた資源価格高騰の影響を受けて大きく上下し、消費者物価を振り回していた特殊要因です。消費者物価の動向を見る上で本当に重要なのは、エネルギーと食料品を除いた部分(グラフ中の黒色の部分)です。そして、この部分のマイナス幅はここ数カ月拡大傾向にあります。これは「特殊要因を除いた消費者物価が、下落スピードを速めつつある」ということであり、いわゆる「デフレ」の度合いがむしろ強まっていることを意味しています。

物価は、需要が減って販売側の供給力を下回ると下落しやすくなります。例えば、ある製品を100万台作れる工場があるのに、需要が90万台しかないという状況では、売る側は値段を下げざるを得ません。日本経済は、リーマンショック以降の急激な景気悪化からは立ち直りつつあるとはいえ、それでも全般的にモノの売れ行きは芳しくなく、企業側の生産能力は余ってしまっています。このような状態が、じわじわと消費者物価に現れてきているのです。

「物価下落が止まる条件」を考えると(1)経済全体の需要が回復して、企業の生産能力水準と等しくなる、(2)企業のリストラ(雇用削減だけでなく工場閉鎖や企業合併なども含む)によって過剰な生産能力が削減され、経済全体の需要と一致する、のどちらかになります。今後、需要は徐々に回復し、企業の生産能力調整も徐々に進んでいくのでしょうが、両者の水準が一致するのはまだ先のことであり、それが物価に表れるには更に時間がかかりますから、少なくとも半年や1年程度で物価が下げ止まる可能性は低いというのが一般的な理解です。日銀は、10月末に公表した『経済・物価情勢の展望(通称:展望レポート)』において、年度平均で見た消費者物価上昇率が2009年度から2011年度まで、3年連続でマイナスになるという政策委員の見方を示しました。今後、少なくとも1〜2年程度は、物価が下がりやすく上がりにくい状態が続くと思われます。

※本資料は、作成時点(2009年11月2日現在)で入手可能なデータに基づき当社調査部が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

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