とっておきのマネー情報

雇用情勢にも底打ちの兆し

2008年9月にいわゆるリーマンショックが起こってから、世界中の景気が急速に悪化していきました。もちろん日本もその例外ではなく、輸出・鉱工業生産の急減によって、製造業を筆頭に企業業績が悪化し、雇用情勢も急激に厳しさを増していきました。

各国の経済政策が効果を表し始めたことや、過剰気味だった在庫削減の動きが一服したことなどから、日本からの輸出と生産は増え始めたのは2009年の2〜3月前後でした。春先から国内製造業の生産が増加に転じて「景気は底を打った」との見方が強まっていきましたが、雇用情勢は、こういった企業部門の業績にやや遅れて動くのが通常の姿ですから、雇用情勢の悪化は春以降も続きました。7月の全国のハローワークにおける求職者と求人数の比率を示す有効求人倍率(求職者一人当たり何件の求人があるか)は0.42倍と過去最低水準まで低下し、失業率はそれまでの過去最高5.5%を上回って5.7%まで上昇しました(図1)。そして一人当たりの賃金は、10月時点で17ヶ月連続の前年同月比マイナスとなっています(図2)。

図1 失業率・有効求人倍率の推移

図2 一人あたり賃金伸び率の推移

失業率があまりに速いペースで上昇したために、このまま6%を超えて7%まで上昇するのではないかという悲観的な見方もありましたが、秋頃から、この流れに変化が見え始めています。失業率は7月の5.7%以降毎月▲0.2%ポイントのペースで低下し、10月時点では5.1%まで低下しました。また有効求人倍率は、輸出や生産の回復を受けた製造業の求人増加を主因として、8月の0.42倍から10月の0.44倍まで2か月連続で上昇しました。雇用情勢も最悪期を脱しつつあるのです。

失業率は不況の進行で職探しを諦めて労働市場から退出した人が増えれば、職を得た人が増えなくても低下します。このため失業率の急ピッチな低下が、雇用情勢の急激な改善を示すものとは言えません。また国内企業はまだ人余りの状況にありますから、失業率が再び上昇する可能性を念頭に置く必要があります。過去の失業率と一人当たり賃金の関係を見ると、失業率が少なくとも4%台前半まで下がらないと、賃金が増えていないことがわかります(安定的に賃金が増えるのは3%台半ばまでの低下が必要)。現在5.1%の失業率がこのまま下がっていくわけではないとすると、賃金増減の分かれ目である4%台前半まで下がるにはかなりの時間がかかりそうです。賃金の回復までの時間も同じで、当面は低迷が続くことになるでしょう。

図3 失業率と賃金伸び率との関係

このように、一般の人々が雇用・賃金情勢を通じて景気の改善を実感できるようになるまでには、まだ長い時間がかかります。しかし、「失業率が7%にも達するのではないか」といった事態を懸念する必要が低下したことや、鉱工業生産回復に半年程遅れて増加してきた求人数の反転増加が明るい材料であることは確かです。景気の先行きにはまだ予断を許しませんが、数年経ってから振り返ると、ちょうど今の時期が雇用情勢の転換点だった、ということになる可能性が高いと思われます。

※本資料は、作成時点(2009年12月1日現在)で入手可能なデータに基づき当社調査部が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

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