とっておきのマネー情報

個人向け社債の将来性に期待

個人向け社債は、文字通り「主として個人を対象として発行される社債」で、日本では1992年に初めて発行されました。以前は「個人向け国債なら知っているけれど、個人向け社債は聞いたことがない」という人が少なくありませんでしたが、08年秋の金融危機前後から発行が急増し、だいぶ認知度が上がっているようです。

この個人向け社債の最近の動向には、大きく2つの特徴があります。
ひとつ目は、空前の発行ラッシュとなっていることです。08年度の発行額は、過去5年間の合計に匹敵する2兆144億円に上り、個人向け以外も含めた社債発行総額の2割を超えました。金額・割合ともに過去最高の水準です(図1)。
09年度に入ってからもこの流れは続いており、4月〜12月の9ヶ月間で既に1.3兆円を超えています。例年、個人向け社債は年度後半に発行されることが多いので、09年度の発行額は1.5兆〜2兆円に達するとみてよいでしょう。

個人向け社債発行額の推移

2つ目の特徴は、発行される社債の多様化です。
例えば、以前は「個人向け社債」と言えば10万円債と100万円債の2種類しかありませんでしたが、08年以降、金融機関が富裕層狙いで発行する200万円以上の高額債が増加し、足下では全体の3割弱を占めています。利率も、従来は1%台がほとんどでしたが、09年度は1%未満から5%超までさまざまです(図2)。また、社債の年限や格付けにもかなりバラツキが出ています。
発行企業の業種をみると、これまで2/3前後を占めていた電力・ガス、運輸というインフラ関連の業種が減り、金融機関が目立ってきました(図3)。発行社債の多様化は、金融機関が高額・高利率・長い年限の劣後債を大量発行したことによるところが大きく、その意味で、発行企業業種の構成の変化は、今回の個人向け社債の発行ラッシュにおける最大のトピックといえるかもしれません。
社債の多様化は、購入者の選択の幅を広げます。高格付けの低利率債、低格付けの高利率債、あるいは長期で高利率のメガバンク劣後債まで、多彩なラインナップの中から、自身のライフステージや資産状況に合った社債を選びやすくなってきたわけです。

個人向け社債の利率別内訳

個人向け社債発行企業の業種別内訳

さて、個人向け社債の発行が増えているとはいえ、日本における「個人」と「社債」の結びつきは今のところ非常に希薄です。
日本の社債残高総額はおよそ73兆円(09年9月末)ですが、銀行が全体の半分弱、保険が1/4弱、この2つに年金を加えた3主体で9割を保有しており、家計(個人)の保有分は全体のわずか1%にすぎません(図4)。家計保有分が2割を占め、かつ、社債保有主体の構成バランスが非常によい米国(図5)とは対照的です。
また、日本の個人金融資産1439兆円(09年9月末)に占める社債の比率も0.05%とほとんどゼロに等しく、5%強を占める米国とは大きな差があります。

日本の社債の保有主体別内訳

米国の社債の保有主体別内訳

ただ、1.金利・株価の低迷が続く中で行き場に迷う個人マネーにとっては、個人向け社債の商品性は依然として魅力的であること、2.社債の多様化が進み、投資家の選択の幅が広がっていること―などを考えると、日本における個人向け社債の発行・個人による社債保有が今後拡大していく可能性は大いにあると思います。
そもそも、個人向け社債の発行が増えることは、1.企業の資金調達先の多様化と、2.個人向け金融商品のラインナップ拡充―という両方の面から基本的には望ましいはずです。
情報量や販売チャネルの少なさ、流動性の低さなど、普及の足かせとなる要素もいくつかありますが、制度や市場の整備が進み、こうした点が改善されていけば、個人向け社債の成長ポテンシャルは、意外と大きいのではないでしょうか。

※本資料は、作成時点(2010年1月27日現在)で入手可能なデータに基づき当社調査部が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

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