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投資主導の景気拡大が続く中国経済

2009年の中国の国内総生産(GDP)は実質で前年比8.7%増加しました(図1)。この高成長の要因を需要項目別の寄与度でみますと、資本形成(投資)はプラス8.0%、最終消費はプラス4.6%ですが、純輸出(外需)はマイナス3.9%になりました。外需の寄与度がマイナスとなるのは1993年以来の16年振りです。

中国の実質GDP成長率(前年比)

世界的な金融危機を契機に、世界各国・地域で資産価格の下落、消費の減退、貿易の縮小等を通じて実体経済にも影響が及んだことを受けて、中国経済は外需に頼る成長が難しくなり、内需の拡大、特に投資主導で回復しています。

この背景には中国政府の景気刺激策があります。2008年11月に打ち出された鉄道や道路などインフラ投資を中心とする4兆元規模(約53兆円)の経済対策、自動車や家電を対象とした消費促進策、そして金融緩和などが相次ぎました。

中国における投資を表す、全社会固定資産投資は2009年に前年比30.1%増の22.4兆元であり、社会消費品小売総額は同15.5%増の12.5兆元でした(図2)。投資と消費が共に大きく増加していますが、消費の伸び率は前年水準を下回り、投資ほどの加速とはいえません。

中国における投資と消費の推移

そこで、投資の高水準な伸びに着目します。

2009年の都市部における固定資産投資は19.4兆元と前年比30.5%増となり、全社会固定資産投資の86.3%を占めました。一方、農村部における固定資産投資は3.0兆元の同27.5%増と都市部の増加率を下回っています。なお、中国の省や直轄市という行政区画の内部には都市部と農村部が併存していますので、北京市や上海市など経済発展が進んだ大都市においても農村部は存在します。

2009年の都市部の固定資産投資の特徴としては、次の2点が指摘できます。

第1に主要業種である製造業と不動産は高水準な伸びを維持しながら、鉄道や道路など交通運輸が急伸しています(図3)。

主要業種別の固定資産投資(都市部)の伸び率(前年比)

都市部の固定資産投資の約3割を占める製造業は、2009年に前年比26.8%の増加となり、その内、輸送機器は同31.3%増、電機・器材は同51.2%増でした。消費促進策の効果もあって、中国では自動車新車販売台数が2009年に1,364万台と世界一に達して、こうした中国市場の拡大が製造業の設備投資を押し上げる主因となりました。

都市部の固定資産投資の約2割を占める不動産は、2009年初こそ鈍化しましたが、通年では同19.9%増と盛り返し、年半ばからは中国各地の不動産価格が上昇に転じています。さらに、交通運輸は同48.3%増と例年の伸び率を大きく上回り、交通インフラ投資の急増は顕著です。

第2に、大幅な金融緩和が投資の増加を後押ししています。2009年12月末の銀行融資残高(人民元)の伸び率は前年比31.7%増を記録しました(図4)

中国における銀行融資残高(人民元)の伸び率(前年比)

世界的な金融危機からいち早く回復した中国経済ですが、投資に偏った成長を続けることによって、その持続性への懸念が浮上します。

まず、過剰な供給能力を抱えて需給のバランスが崩れるリスクがあります。中国政府には、景気失速を回避しながら、消費の力不足を補いつつ、投資過熱を抑える経済運営が求められます。

また、中国の中央政府による政策転換や地方政府への徹底に手間取るようであれば、かえって調整の振れが大きくなったり、非効率的な投資が続いたりするリスクも内在しています。都市部の固定資産投資の内、中央政府が計画から実施を管轄する事業は投資額の1割であり、残りの9割は地方政府の管轄という分担体制にありますので、その調整能力は注目点の一つです。

さらに、中長期的な成長という視点では、生産性の向上、環境負荷の軽減、研究開発等、投資の質に対する不断の改善が重要な課題となっています。

中国が成長重視から持続性ある経済構造への転換に道筋をつけるには、まだ時間はかかりそうですので、当面は投資過熱のリスクを留意すべきといえます。

※本資料は、作成時点(2010年3月4日現在)で入手可能なデータに基づき当社調査部が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

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