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好調な豪州経済の現状と先行き

オーストラリアの景気は、他の先進国と比べて強い状態を維持してきました。リーマンショックの影響は受けたものの、GDPの落ち込みは他先進国よりも極めて軽微なものに終わり、また早い時期に持ち直しに転じた結果、GDPの水準は既にリーマンショック前を超えています。

主要経済圏の実質GDPの動き

豪州経済が他の先進諸国よりも好調に推移してきた要因として、以下の点が挙げられます。

(1)金融機関の損失が限定的であった
サブプライムローン問題の顕在化に始まり、リーマンショックで急速に深刻化した前回の世界景気悪化は、金融システムが大きなダメージを受けたことが大きな要因の一つでした。この点において豪州は、金融機関の損失が極めて小さく、2007年半ばから発生した金融機関の損失は、米国がGDP比7%を超えるのに対して、豪州は0.3%に過ぎません。このため、実体経済への悪影響も軽いもので済んだのです。

(2)中国高成長の恩恵を大きく受けた
中国では、政府の経済政策によって成長率が高まっており、建設資材としての鉄鋼関連製品への需要が増えました。このため、鉄鉱石や石炭を主な輸出品目とする豪州から中国への輸出が増え、豪州に大きな恩恵をもたらしました。こうしたことは、2009年の豪州からの輸出に占める中国向けの割合は21.6%と前年より7%ポイントも上昇したことにも表れています。更に、中国の高成長が鉄鉱石や金属原材料などの資源価格上昇につながったことも、大きなメリットとなりました。輸出の数量・価格の双方において、中国高成長の恩恵を受けたということです。なおこの点については、豪州のGDPが約1兆ドルと中国(4.4兆ドル)の約4分の1に過ぎない経済規模であるために、中国高成長の恩恵を受けやすいことも重要な要素の一つです。

(3)十分な経済政策の発動余地があった
2007年前半までの景気拡張期において、豪州の政策金利は最高で7.25%まで引き上げられていました。この高水準の政策金利が、景気後退期においては十分な利下げ余地となり、金融政策の景気刺激効果を大きくしました。また、財政面においても、好況期に黒字を続けていたことで、不況期に入ってから大規模な財政政策を打ち出すことが可能となりました。このように財政政策・金融政策双方の大胆な活用が可能であったことが、豪州経済の立ち直りを早めた要因の一つです。

なお2009年は名目GDPで5%前後の財政赤字に陥り、政府部門債務はGDP比で15.9%と前年の14.3%から上昇しましたが、それでも日本の189%、米国の84%に比べて極めて低く、財政面で他国よりも優位な状況は変わりません(債務比率はOECD調べ)。

(4)人口増加率が高い
豪州の人口増加率は直近(2009年9月)で前年比2.1%と、日本の▲0.1%はもちろん、米国の0.9%も大きく上回っています。これは豪州が受け入れている移民が人口増加率を押し上げているためです。この人口増加は個人消費など、経済成長率を押し上げる他、住宅などの資産価格を支える要因にもなっています。

豪州人口増加率の内訳

国際通貨基金(IMF)は4月に公表した世界経済見通しにおいて、豪州の経済成長率を2010年は3.0%、2011年は3.5%と予想するなど、景気はこの先も順調に推移するとの見方が一般的です。

先行きのリスク要因としては、恩恵を受けてきた中国経済の動向が第一に挙げられるでしょう。中国の経済成長率は2010年1-3月期で前年同期比+11.9%と非常に高く、景気が過熱気味になっている他、不動産など資産価格高騰への懸念も出始めています。中国当局が金融引き締めに動いているのは良い材料ですが、首尾よく景気過熱を抑えることができるかどうか、しばらくは注意が必要です。他には、資源価格高騰などによるインフレも考えられます。豪州の消費者物価上昇率は、直近2010年1-3月期で前年同期比+2.9%と、豪州準備銀行が目標とする2〜3%の範囲内の上限に近づきました。国外では資源価格上昇、国内では好景気と内外ともにインフレ要因があることから、物価の動きにも注意していく必要がありそうです。

※本資料は、作成時点(2010年4月28日現在)で入手可能なデータに基づき当社調査部が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

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