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家計が保有する国債残高

ギリシャの財政赤字問題に端を発する欧州ソブリン危機は、日本の財政状況に対する懸念も引き起こしました。国際通貨基金(IMF)のデータによると、日本の2009年の財政赤字GDP比率は▲10.3%です。これは欧州の中でも財政状況が特に問題視されている国と同程度であり、政府部門が既に抱えている債務残高に至っては、それらの国を遥かに上回っています。

2009年の財政赤字GDP比率・政府部門債務のGDP比率

このように財政赤字や債務残高が大きい国の国債利回りは、信用懸念から上昇するのが通常の動きですが、日本の10年国債の利回りは、欧州ソブリン危機が起こってから逆に低下しており、6月下旬には約7年ぶりに1.1%を下回りました。国債利回りが低いことは国債価格の上昇、すなわち資金が流入していることを意味します。この動きをごく単純に解釈すると、今のところ日本国債への信用は損なわれるどころか上昇しているということになります。

では、一体誰が日本の国債を買っているのでしょうか。これを、日本銀行「資金循環統計」から見てみましょう。

2009年度末(2010年3月末)の国債発行残高は834兆円で、1年前よりも36兆円増加しています。そして保有者別の残高内訳を見ると、1,400兆円とされる規模の金融資産を持つ家計の保有残高は34.4兆円と、前年よりも▲1.6兆円減少し、2009年度末の保有シェアは4.1%に過ぎません。

代わりに国債保有残高を増やしたのが、一般の銀行などが含まれる預金取扱機関(以下単に「銀行」とします)と生命保険・年金です。特に銀行の保有残高は前年から+38.9兆円も増えており、発行残高全体の増加幅(+36.2兆円)を上回っています。これは、他の部門が国債保有を減らした分まで吸収していることを示しています。この結果、銀行の国債保有シェアは4割強に及び、生損保・年金なども合わせた金融機関全体では6割を上回ります。銀行の国債保有残高が急増している背景には、国内企業向けの貸出が伸びないために銀行内で資金が余ってしまい、代わりの運用先として国債に向かわざるを得ないことがあります。

※ここでは国債に加えて、財融債、および期間の短い国庫短期証券も含んでいます。

国債・財融債・国庫短期証券の部門別保有残高(2009年度末)

銀行による運用原資の大半は、預金という形で家計が預け入れたものであるため、間接的にはかなりの国債が家計によって保有されていることになり、その額はここ数年で急増しています。つまり我々の預金や支払保険料が、様々なルートで国債に流れ込んでいるということです。

家計の直接・間接的な国債保有残高

このことは、今後の家計貯蓄額が急激に減らない限り、家計から国債に一定の資金が流れ込むことで国債市場が安定する要因となり得ることを意味します。しかしその一方、万が一国債市場に混乱が起き、価格が低下した場合には、様々なルートを通じて家計金融資産が傷む可能性をも示唆しています。こうした事態がすぐに起こる可能性は低いと見られますが、中期的には財政赤字解消に向けた努力が求められます。

※本資料は、作成時点(2010年6月30日現在)で入手可能なデータに基づき当社調査部が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

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