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米国住宅市場の底入れは本物か

米国の住宅市場が底入れするかどうかは、米国経済が今後順調に回復していくかどうかを見る上でも重要なテーマです。こうしたなかで米商務省が発表した6月の新築1戸建て住宅販売は、前月比23.6%増の年率33万戸と前月比での増加率としては1980年5月以来の大きさとなりました。米国住宅市場は回復局面に入ったと見て良いのでしょうか。

米国の住宅市場は政府による住宅取得控除制度の恩恵もあって昨年末より販売が増え、底入れしたかに見えましたが、4月に同制度の終了に伴い、5月は新築と中古住宅いずれも大幅減となっていました。住宅取得控除は住宅を新規に取得する購入者に対し、8000ドル(日本円では70万円前後)を限度に住宅価格の10%の住宅取得控除を認めるほか、居住年数が5年以上であれば、新しい住宅に買替えれば最大6500ドルの取得控除を適用するものでした。

残念ながら、米国の住宅市場が自律的な回復局面に入るまでにはもうしばらく時間がかかりそうです。その最大の理由は、中古住宅市場では売りに出ている在庫物件数が販売実績に比べて多いことにあります。米国の中古住宅市場は、販売・在庫ともに新築住宅市場のほぼ10倍の市場規模ですが、中古住宅の在庫数がまだ高水準にあることが分かります。例えば、6月の新築住宅の在庫数は21万戸に過ぎず、30万戸前後であった2000年前半の水準を下回っています(図1)。

米国の新築住宅販売と在庫推移

これに対して中古住宅の在庫水準は6月399万戸と過去に比べても相当に高いままとなっています(図2)。6月の中古住宅販売は年率537万戸(月平均45万戸)ですから、仮に今の販売ペースで全ての中古住宅在庫を売り切るには8〜9か月を要する計算になります。

中古住宅市場で在庫が多いということは、住宅を買替える人にとっては、希望した価格でなかなか自宅が売却できず、次の新規住宅購入に進めないことになります。これが、米国の住宅市場の改善を遅らせる大きな足かせとなっています。

米国の中古住宅販売と在庫推移

ただし、一方で住宅需要を押し上げる要因もないわけではありません。第一が、ここ数年の住宅価格の低下により可処分所得比で見た新築住宅価格は手ごろな水準になってきたことが挙げられます。

6月の新築住宅の中央値は21万3400ドルと米国の一人当たり可処分所得の6.7倍まで落ちてきています。過去に比べるとまだやや高い水準ですが、低金利の追い風を受けているというのが第二のプラスの要因です(図3)。米国では長期金利が低下しているために、30年固定ローン金利は7月時点で4.59%と歴史的な低水準にあります。これは2000年前半のローン金利より2%ほど低く、負債返済負担が当時よりも少なくて済むことを意味しています。ローン金利の低さを考慮すれば、米国の新築住宅は今が買い時であることを示唆しています。

可処分所得比でみた新築住宅価格と住宅ローン金利

もちろん、住宅のような大きな買い物をする場合は、将来の収入の見通しが立っていることも重要ですので、住宅購入には価格やローン金利水準だけでなく雇用環境の先行きにも大きく左右されることは間違いありません。

その米国の雇用環境ですが、失業率は昨年10月の10.1%をピークに6月は9.5%と緩やかながらも改善してきました。今年後半も雇用環境の改善が続くようであれば、現在の水準から見て中古住宅の在庫水準が正常化するとみられる半年先には、中古住宅市場の需給改善が新築市場の販売増加へと波及していくプラスの好循環が働くことが期待できるのではないでしょうか。

※本資料は、作成時点(2010年7月28日現在)で入手可能なデータに基づき当社調査部が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

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