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踊り場か?二番底か?この先の日本の景気

日本の景気は、2008年秋のリーマン・ショックによって急激に悪化した後、2009年の初め頃からは回復に向かいましたが、ここにきて景気の先行きが少し怪しくなっています。

日本政府や国内のエコノミストの景気判断に大きな影響を与える重要経済指標の一つに、国内製造業の活動を示す鉱工業生産指数があります。この動きを見ると、2009年の初めから回復に向かって1年間ほど増加し続けた後、ここ数か月は減少しており、9月から10月にかけてさらに減少する予想になっていることがわかります。

鉱工業生産指数の推移

生産減少の要因の一つに、今まで過熱気味に推移してきた中国など新興国景気がやや減速したことや円高で、日本からの輸出の伸びが鈍化したことが挙げられます。また、製造業の中の業種別に見ると、半導体などIT関連財の製造業で在庫が積上がったために生産調整が必要になっていること、そして9月にエコカー購入の際の補助金支給が打切られたことによる国内自動車販売台数の減少を受けて、自動車の製造が大幅に減っていることも、最近の生産減少の要因です。

では、この先の生産はどうなるのでしょうか。今から勢い良く増えていく可能性は低いので、しばらくはほぼ横ばいで推移した後上向くか、それとも再び減少し続ける局面に入るのかのどちらかです。国内景気に当てはめると、景気はこの先「踊り場」に入るのか「二番底」に向かうのか、ということです。

この点について住友信託銀行調査部は、日本からの輸出、すなわち海外景気の動向が最大のキーポイントになると考えています。国内において半導体部門の在庫調整や自動車販売の減少によって生産が減っても、海外景気の回復が続いて日本からの輸出が増えれば、ある程度カバーできるからです。

その海外経済について、日本の最大の貿易取引国である中国では、不動産価格の高騰など過熱気味に推移してきた景気に対して政府がブレーキをかけ始めており、今のところ過熱抑制に成功しています。この先、不動産価格の下落ペースが速まって実体経済に悪影響が出るリスクも残っていますが、もともと成長力の強い経済であり、いざとなれば政府の財政支出余力もあります。この先減速したとしても、先進国を大きく上回る高成長が続く可能性が高いと考えられます。

また米国では、経済政策の効果が薄れ始めたことで、いわゆる二番底の懸念が出てきています。しかし、企業収益が過去最高水準まで達していることや、新たな経済政策に向けた動きが既に出ていることから、実際に二番底に陥る事態は避けられるでしょう。こうした見通しを前提に、日本からの輸出は増加基調を続け、それが国内景気の支えとなって、「踊り場には入るものの二番底は回避する」というのが今の中心的な見通しです。

過去に目を向けると、2002年から2007年まで続いた前回の景気拡張局面でも、踊り場と言われた時期が2回ありました。1回目は、イラク戦争や新型肺炎(SARS)による先行き不透明感の高まりで生産の伸びが停滞した2003年頃です。そして2回目は、アテネ五輪前後の2004年から2005年にかけての時期です。この時は、当時「新三種の神器」と言われたデジカメ・デジタルテレビ・DVDレコーダーを、国内電機メーカーが極めて強気な姿勢で生産し続けたために在庫が積上がってしまい、生産調整が必要になったのです。2回とも、その当時は景気後退局面に入るのではないかと懸念されましたが、最終的には海外の先進国・新興国双方の経済の拡大が続き、日本からの輸出が増えたことが支えとなり、景気後退には至りませんでした。今回もこの時と同様に、海外経済が支えとなって二番底は回避、というのが我々の基本的な予想です。

ただ、これは逆に言えば、海外経済が悪化すれば日本経済も回復力を失うということであり、別の言い方をすれば、日本経済にとっては海外の景気が最大のポイントでありリスクであるということです。この先も、国内景気に対する見方や株価が、海外経済動向に左右されやすい時期が続くでしょう。

2000年以降の鉱工業生産指数の推移

※本資料は、作成時点(2010年10月6日現在)で入手可能なデータにもとづき当社調査部が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

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