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日本の財政破綻は近いか

民間格付会社のスタンダート・プアーズ社は、2011年1月27日、日本のソブリン格付(長期)をAAからAA−に引き下げました。現政権が債務問題に対する一貫した戦略を欠いており、当面は政府の支払い能力改善が期待できないことなどが理由です。国際通貨基金(IMF)のデータによると、2009年の日本の政府財政赤字の規模は名目GDP比▲10.2%で、これは欧州ソブリン危機の発端となった欧州周縁国(ギリシャなどのGIIPS諸国)とあまり変わらない高水準です。そして既に積上がった政府債務残高に至っては名目GDP比で200%を超えており、これらの国さえも遥かに上回っています。早急に財政再建への取り組みを始める必要があることは間違いありません。

政府部門の財政状況(2009年)

しかし、日本の財政がすぐに破綻するかというと、そういうわけでもありません。理由は、政府部門の資金不足は国内から調達できることにあります。

先に見たように、日本の政府部門の財政赤字は名目GDP比▲10.2%でした。しかし家計・企業などで構成される民間部門は、稼ぐほどにはお金を使わないので多額の貯蓄をしており、その貯蓄は政府の赤字を上回っています。民間部門の貯蓄から政府部門の赤字を差引いてもまだ資金が余るということです。この状態では、政府部門は赤字になった分を国内民間部門の貯蓄から調達できますから、すぐに財政破綻に至ることはありません。

これに対してGIIPS諸国は民間部門がさほど貯蓄をしていないため、政府の赤字を引くとマイナスになります。これは民間・政府を合わせた国全体で資金不足に陥っており、その分を海外から借金する必要があることを示します。この点が日本との決定的な差であり、GIIPS諸国でソブリン危機が起き、日本で起きていないのはこのためです。日本の民間部門が国債を一切買わなくなれば話は変わりますが、国内の家計、企業、そして銀行など金融部門も資産運用にあたってリスクを嫌う傾向が強いので、民間部門の貯蓄が政府の赤字を埋め合わせる構図は変わらないでしょう。

※中には民間部門も政府部門も資金不足になっている国もあります。

各国の資金過不足

別の懸念として、日本はこの先少子高齢化が進むために民間部門の活力が低下し、貯蓄できなくなればGIIPS諸国と同様に国全体で資金不足になることも考えられるかも知れません。しかし、こうした変化は急激に進むものではないことや、輸入よりも輸出の方が多いという日本の経済構造が短い期間で変化する可能性は低いこと、そして既に国内外に保有する多額の資産から得られる投資収益があるため、民間部門の貯蓄がすぐにゼロになってしまうようなことは起こりません。こうした現状を踏まえると、向こう数年以内に政府の赤字分が調達できなくなり、財政破綻に至る可能性は低いという見方が可能です。

ただし当然ながら、この見方は現在の財政状況を是とするものではありません。今の日本は、国家予算の歳入のうち税収よりも国債によるものの方が多いという異常な状態にあります。このままだと、破綻には至らないまでも税収の多くが利払いに消えてしまい、必要なところに予算を充てられなくなっていきます。抜本的な財政再建策を早急に実行に移す必要があることは、言うまでもありません。

※本資料は、作成時点(2011年2月4日現在)で入手可能なデータにもとづき当社調査部が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

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