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アジアの利上げとインフレ環境

アジア各国は2009年11月のインド、2010年3月のマレーシアによる政策金利の引き上げを皮切りに、リーマン・ショックによる世界的な景気後退後、先進国に先駆けて金融緩和からの脱却に着手してきました。とりわけ、2010年後半からは、アジア各国の政策金利の引き上げは複数回に及び、インフレ過熱に対処した引き上げをより明確に打ち出すようになっています(図1)。

アジア各国の政策金利の推移

しかしながら、各国で公表されているインフレ指標である消費者物価指数に占める食料品や燃料のウエイトは、各国の支出構造を反映して大きな違いがあります。食料品ウエイトに注目すれば、6割を超えるインドから2割を下回る韓国まで相当なばらつきがみられます(図2)。フィリピン、インドネシア、タイ、中国、マレーシアの食料品ウエイトは3割を超え、食料品価格の上昇はインフレ指標を容易に押し上げることがわかります。

アジア各国の消費者物価に占める食料品と燃料ウエイト

こうしたインフレ環境の相違もあって、各国の政策金利は水準そのものに違いがあるのみならず、政策金利からインフレ率を差し引いた実質政策金利にも大きなばらつきがみられます。中国、マレーシア、台湾のように政策金利がインフレ率を上回る国もある一方で、韓国、インド、タイなどは、実質政策金利が未だマイナスの国もあります(図3)。そして各国の政策金利を食料品ウエイトが高い順に並べてみると、インドを除くと食料品ウエイトの高い国の実質金利は、ウエイトの低い国より高い傾向にあることが読み取れます(図4)。

各国の実質政策金利・食料品ウエイトと実質政策金利

食料品ウエイトが高い国ほど実質政策金利が高いのは、こうした国では食料品価格上昇によるインフレ高騰を警戒しつつ、不十分ながらもインフレ上昇に対して積極的な利上げで対処していることを反映しているようです。

食料品ウエイトの高い国はまた、1単位の経済活動に必要な原油投入量も多く消費者物価に占める燃料ウエイトも高い傾向にありますので、原油高が続いた場合には過度な利上げで景気を失速させないような注意が必要です。

他方、韓国などのように食料品ウエイトが低く実質政策金利が大幅なマイナスで金融緩和が続く国では、遅れた利上げの反動で景気が失速する可能性にも留意する必要があります。このように、食料品価格の高騰を重視する国とそうでない国の間で金融政策の二極化が生じていることは、アジア経済の先行きを見る上で大きな注目材料といえるでしょう。

※本資料は、作成時点(2011年2月28日現在)で入手可能なデータにもとづき当社調査部が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

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