とっておきのマネー情報

東日本大震災と日本経済

今回は、東日本大震災が日本経済に与える影響を取上げます。被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復興をお祈りいたします。

最初に、震災前の日本経済の姿を振返りましょう。日本の景気は、昨年夏頃から一時的に回復ペースが鈍化した「踊り場」というべき状態にありましたが、2011年に入る頃から踊り場を脱し始めました。その背景には、米国など海外の景気が回復したために日本からの輸出が増える見通しが立ってきたことと、それを受けて国内製造業の生産活動も上向きつつあったことがあります。

国内製造業の生産活動の推移

国内製造業の業績が回復すれば、その恩恵は他の業種にも波及していきます。そして企業収益全体が上向き、更に雇用情勢改善を通じて、景気回復の恩恵が徐々に家計部門にも及んでいく−という流れが続いていました。これが、震災前の日本経済の姿でした。

東日本大震災と日本経済

しかし、今回の震災でこの流れが変わってしまいました。まず悪影響が出たのは、国内製造業の生産です。被災地の工場や機械設備が壊れたために生産ができなくなったというのが直接的な被害ですが、被災地以外の地域でも、東北地方で作っていたものを部品や原材料として調達していた工場で生産が止まってしまうというケースが相次いでいます。このような「サプライチェーンの寸断」の影響は国内外問わず広い範囲に及んでおり、業種別に見ると、電子部品などのIT関連、そして自動車製造業において特に顕著になっています。これに加えて、関東エリアの電力不足問題も製造業の生産活動の制約になっています。4月半ばから計画停電は回避されましたが、夏場は再び電力不足の度合いが強まることが予想されるため、生産ができなくなるケースが増えることは避けられないと思われます。

震災前は、海外の景気が好調で輸出が増えれば国内製造業の生産が増え、企業の利益が増えて・・・という流れでした。しかし今回の震災で、輸出という需要があっても生産ができないという異例の事態になっています。またこの先、被災地中心に復興需要が出てくるのは確実ですが、国内で生産ができなければ輸入に頼らざるを得ず、この場合は国内企業の利益はほとんど増えませんから、景気回復にも結びつきません。この観点から見ると、今後の国内景気の回復スピードは生産の回復スピードによるところが大きく、従って関東エリアの電力不足は、この先の景気を見る上での最大のポイントとなるでしょう。

この問題が懸念材料であることは確かですが、必ずしも過度に悲観的になる必要はありません。電力不足は絶対的な制約要因ではなく、ある程度までは対応が可能だからです。例えば、家庭や企業における節電の他、民間部門で電力使用のピークが重ならないように使用時間をずらすなどの努力をすれば、国内の生産に対する障害を減らすことができます。我々の努力と工夫次第では、国内の生産、ひいては景気の復活が意外に早く果たせる可能性もあるのです。

またその際には、被災地以外の人が普段通りの生活を取戻すことも重要です。一部では震災を受けた自粛ムードが高まっていますが、これによってお金が使われない状態が続くと、経済活動は更に弱まり、景気や財政状況の悪化を通じて、復興を妨げる要因になります。今のところ、震災が日本経済に及ぼした影響は経済活動の下振れであり、上向き始めていた日本経済が下向きの局面に入ったわけではありません。今のところ海外経済は好調を維持していることや、しばらくすると国内でも復興需要が出てきますから、国内で生産できるようになれば景気も再び上向くことが期待できる状況にあります。

東日本大震災と日本経済

震災で発生した問題はまだ多く残っていますが、それらの解決に取り組み、日本の景気が下向きの局面に入ることを避けるためには、我々が必要なことに一丸となって取り組みながら、過度の経済活動の萎縮を避けることが肝要です。

※本資料は、作成時点(2011年4月13日現在)で入手可能なデータにもとづき当社調査部が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

窓口でのご相談・お申し込み

窓口でのご相談・お申し込み

  • お近くの三井住友信託銀行の店舗を探す。
  • お近くの店舗を検索

新規口座開設をご希望のお客さま

新規口座開設をご希望のお客さま

新規口座はお近くの三井住友信託銀行の店舗やメールオーダーでお申込みいただけます。

  • 口座開設について
  • お近くの店舗を検索

ページトップへ戻る