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米国追加量的緩和(QE2)の効果と円高の行方

円ドルレートは、7月12日以降再び80円台を割り込み円高への懸念が高まっています。米国の金融緩和政策は、今年6月に終了したばかりですが、経済の成長ペースが落ちていることもあって、更なる追加金融緩和への期待が出てきたこともひとつの要因です。6月末に終了した米国の金融緩和政策が金利や為替に与えた影響はどのようなものであったかを振り返ってみましょう。

昨年春以降の米国景気回復ペースの鈍化を受けて、米連邦準備理事会(FRB)は2010年11月より6千億ドル(約48兆円)の中長期国債の買い取りを2011年6月までを期限に行う追加金融緩和策(QE2)を実施しました。この結果、FRBのバランスシートの資産規模は2011年7月6日時点で2.8兆ドルと世界金融危機以前の0.9兆ドルと比べると約3倍にまで拡大しました(図1)。

米連邦準備理事会(FRB)のバランスシート(資産側)

この間の資産の中身の変遷を見ると、金融危機直後の2008年後半から2009年にかけては、破綻しかけた金融機関向けの融資や短期資金供給が主であり、短期金融市場の安定化を目的とした資産規模の拡大でした。対して、2010年以降の規模拡大は住宅ローン証券(モーゲージ債等)や中長期国債の買い取りによるものであり、長期金利の低下を目的としたものでした。

この結果、米国の長期金利は低下しインフレ率は高まっています。追加金融緩和が実施された2010年10月以降の指標の動きに注目すると、米10年債レートは一旦上昇したあと、3.0%に向かって緩やかに低下しました。食糧・燃料除きの消費者物価上昇率は、前年比1%を下回る低い水準より反転、2011年5月には前年比1.5%まで戻しています(図2)。こうした動きからすると、金利を引き下げデフレを回避するという当初の目的は、概ね達成されたとみて良いでしょう。

追加金融緩和後の米国長期金利とインフレ率

この間の円ドルレートの動きを振り返ると、2010年11月以降、月次ベースで均した数字では概ね80〜85円のボックス圏のなかを推移しました。ところが、円のみならず米国の貿易相手国の主要通貨に対するドル通貨価値を示すドル実効レートでみると、ドルは一貫して通貨安の方向に推移しています(図3)。こうした動きからは、米国の追加金融緩和は、各国主要通貨に対してドル安をもたらし易いことが分かります。

追加金融緩和後の円ドルレートとドル実効レート

2011年7月13日の米議会証言において、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は、景気リスクがある場合には追加緩和策の用意があると述べたことから、ドル売りが優勢になり、円ドルレートは一時78円台をつけました。本来であれば、追加金融緩和が6月に終了したことで、円高ドル安の動きに歯止めがかかるところですが、米国経済の見通しが晴れるまでは、しばらく米国経済指標の内容によって、円ドルレートも一進一退の展開になると予想されます。

※本資料は、作成時点(2011年7月14日現在)で入手可能なデータにもとづき当社調査部が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

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