とっておきのマネー情報

米国超低金利政策の継続が円ドルレートに及ぼす影響

米連邦準備理事会(FRB)は、今年6月に国債の買い取りからなる追加金融緩和策(QE2)を終了したばかりですが、その後の経済金融市場の悪化を受けて、8月9日の公開市場委員会(FOMC)において、低金利政策を2013年半ばまで継続することを決定しました。今回の金融緩和継続の背景とともに円ドルレートに及ぼす影響を整理してみましょう。

今回の政策決定の最大の特徴は、フェデラルファンド(FF)レートの誘導目標を0〜0.25%に据え置き、極めて低い水準のFFレートを少なくとも2013年半ばまで維持することを決めた点です。これまでの政策決定では、FFレートの継続期間を予め明確にすることはなく、「長期間にわたり継続する」という表現を繰り返すことで、せいぜい数か月から半年までを射程にしたものに過ぎませんでした。対して今回の政策決定では、FOMC構成メンバー3名の反対を押し切ってまで、低水準のFFレートを2013年半ばまで2年にわたり維持する旨を表明したことが異例であったと言えます。この背景には、米国の経済成長ペースの鈍化によって失業率の劇的な改善が期待できなくなったことがあります。2010年から今年4〜6月期までの米国経済成長率の推移をみると、今年に入って実質成長率が2%以下に減速していることが分かります(図1)。

2010年以降の米国実質経済成長率の推移

2010年以降の米国失業率の推移

この成長減速により、一時9%を割り低下しかけた失業率も反転悪化し、9%を挟み高止まったままとなっています(図2)。過去の米国成長率と失業率の関係では、3%近い成長を続けて初めて失業率が継続して低下していく傾向にありました。従って、2008年の金融危機からの回復間もないなかでの2%未満の成長は、失業率が改善せず再び景気後退に陥るリスクを高めることになります。前回のFOMCまでは、この成長減速は今年前半の食料や燃料価格の高騰による家計購買力低下や日本の震災に起因するサプライチェーン寸断の影響といった一時的なものという判断でした。しかし今回のFOMC声明文では、こうした要因で説明できるのは減速の一部分に過ぎないと見方を下方修正しています。追加金融緩和政策(QE2)終了間もない今回の異例といえる低金利政策継続の政策決定からも、今年前半の成長減速と先行きについては相当な危機感をもって対処していることが読み取れます。

この決定により金利や為替の先行きにどのような影響が出たでしょうか。まず、2年にわたる低金利の継続を決めたことで、米2年債レートは8月9日時点で史上最低水準の0.19%にまで低下しました。円ドルレートも米国金利の先行き低下を反映し円高への動きが加速しています。2010年以降の米2年債レートと円ドルレートの推移を並べてみると、米2年債レートが0.25%低下するごとに、円ドルレートの水準レンジが約5円切り上がる傾向が読み取れます(図3)。

昨年半ばから今年6月までの1年間、円ドルレートは概ね80〜85円のボックス圏内を推移していましたが、今回の低金利継続で2年債レートが大幅に低下したことで、円ドルレートの水準レンジが75〜80円へと5円円高に変化したことを示唆しています。

2010年以降の米2年債レートと円ドルレート

もちろん、こうした政策決定も経済見通しに照らして随時見直されますが、今回の低金利の継続が過去の政策判断で示された数か月といった射程ではなく、2年という継続期間を置いた意味は大きいと言えるでしょう。つまり、劇的に経済情勢が改善されるまで、例えば3%超の成長率が数四半期にわたり継続する地合いが形成されるまで、しばらく現状の緩和政策が続くことを意味します。従って、この先の円ドルレートは、米国経済指標が悪化した場合には更に円高が進む可能性を抱えながら、当面75〜80円のボックス圏を中心に推移する可能性が高いと思われます。

※本資料は、作成時点(2011年8月10日現在)で入手可能なデータにもとづき当社調査部が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

窓口でのご相談・お申し込み

窓口でのご相談・お申し込み

  • お近くの三井住友信託銀行の店舗を探す。
  • お近くの店舗を検索

新規口座開設をご希望のお客さま

新規口座開設をご希望のお客さま

新規口座はお近くの三井住友信託銀行の店舗やメールオーダーでお申込みいただけます。

  • 口座開設について
  • お近くの店舗を検索

ページトップへ戻る