とっておきのマネー情報

新興国・資源国の金融政策に変化の兆し

ブラジル中央銀行は、8月31日の金融政策委員会において、同国の政策金利を12.5%から12.0%に引き下げる決定を行いました。リーマンショック以来、政策金利は引き上げが続いてきましたが、今回の決定で約2年ぶりの利下げとなります。今のところブラジルの経済指標が特に悪化しているわけでもなく、インフレ率は前年同月比で7%前後と依然として高いことから、利下げを予想していなかった金融市場にとってはサプライズとなりました。

ブラジルの政策金利の推移

ブラジルの消費者物価上昇率

今回の突然の利下げの背景には、欧米の財政問題をきっかけとして世界経済が顕著に減速していることに加えて、国際金融市場および世界実体経済の先行きに対する不透明感が高まったことがあります。

先行きの不透明感の高まりは、世界中の人や企業のマインドを悪化させます。そうなると各国の消費・設備投資が手控えられることで貿易量が減り、世界経済の足を引っ張ります。また、これまで新興国・資源国経済の先行きに期待していた投資家がリスクに神経質になってこれ以上の投資を止める、あるいは投資を引き上げると言った動きに出ることも、投資先の国の景気にマイナス要因となります。今回の利下げによって、ただでさえ高いブラジルの物価上昇率が更に高まり、再び利上げを余儀なくされる可能性もありますが、今回はブラジル中央銀行が世界経済に関するリスクを重く見た上で利下げを決断しました。

同じような変化は、オーストラリアでも見られています。最近、同国の中央銀行である豪州準備銀行(RBA)の声明でも、欧米財政問題に起因する先行き不透明感の高まりや金融市場の振れの大きさが、マインド悪化を通じて世界経済に与える悪影響に言及する機会が増えており、金融政策のスタンスが引き締めから中立に傾いています。リーマンショック後の豪州経済は、高水準の資源価格の恩恵をフルに受けて景気拡大局面を謳歌してきました。現在利用できる経済指標からは、この姿に明確な変調は見られません(RBA曰く「輸出品の価格は依然として高水準で国民所得は高いペースで増えており、中国の高成長基調は崩れていないように見える」)が、家計部門の支出スタンスは引き続き慎重なままで、豪ドルレート上昇が製造業はじめとする国内部門に打撃を与えているという弱点もありますから、この先、先進国の景気減速が長引いて資源価格が下がるようであれば、豪州でも利下げが視野に入ってくるでしょう。

中国をはじめとするアジア新興国については、景気が依然として底堅く推移していることや、物価上昇率に比べて政策金利の水準がまだ低く、更なる金融引き締めが必要な状態ですので、この先直ちに利下げに転じる可能性は低いと思われます。しかし、先進国での景気低迷や財政問題が長引くようであれば、アジア新興国を巡るマネーの動きに変化が生じ、各国景気や金融政策に及ぶ影響が大きくなる可能性が高まってきます。

今まで、新興国・資源国の金融政策を決めるのはそれぞれの国の景気や物価でしたが、ここに欧米の財政問題に起因する先行き不透明感の高まりやその影響など、別の要因が加わってきました。各国政府・中央銀行にとっての政策運営だけでなく、金融市場参加者にとっては先行きを読むのが難しい時期になりそうです。

※本資料は、作成時点(2011年9月14日現在)で入手可能なデータにもとづき当社調査部が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

窓口でのご相談・お申し込み

窓口でのご相談・お申し込み

  • お近くの三井住友信託銀行の店舗を探す。
  • お近くの店舗を検索

新規口座開設をご希望のお客さま

新規口座開設をご希望のお客さま

新規口座はお近くの三井住友信託銀行の店舗やメールオーダーでお申込みいただけます。

  • 口座開設について
  • お近くの店舗を検索

ページトップへ戻る