とっておきのマネー情報

2012年の内外経済をどう見るか

2011年は夏頃から欧州債務問題が深刻化し、全世界を悩ませた年となりました。日本も例外ではなく、3月の東日本大震災による打撃から立ち直ったところに、欧州に端を発する世界経済減速という新たな壁に直面しました。

2012年も、欧州債務問題は世界経済・国際金融市場にとって最大のリスク要因として注意しておく必要があります。EU各国政府は、再び放漫財政に陥る国が出ないようにするために財政規律を強化するとともに、欧州金融安定基金(EFSF)をはじめとしたセーフティネットの拡大と、欧州民間銀行の自己資本比率引き上げを中心とした金融機関経営の安定性向上を柱として、債務問題の収束を目指しています。しかし、財政規律の強化にどの程度の現実味があるのか、そしてセーフティネットの拡大や銀行資本増強のために必要な資金をどこから調達するのかなど、数多くの問題が残されています。欧州の実体経済はこれから厳しさを増していく可能性が高く、今年4月頃までが欧州各国の国債償還額のピークになっています。このような環境を踏まえると、4月までの数ヶ月間は欧州にとってまさに正念場の時期となるでしょう。しばらくの間、欧州の株価やユーロレートには、他地域の金融市場と比べて下押し圧力がかかりやすく、かつ振れの大きい展開が予想されます。

新興国経済についても、欧州の影響が懸念されます。欧州景気が悪化すれば、新興国から欧州向けの輸出が減り、新興国景気にとってのマイナス要因となります。また、欧州銀行の経営が厳しくなることによって新興国向けの投資が減少すれば、これも新興国景気の足を引っ張ることになります。今のところは多少減速しても先進国を上回る比較的高い成長ペースは崩れないという見方が一般的ですが、貿易が細るという実体経済のルートだけでなく、海外からの投融資が鈍化するという金融市場のルートでも悪影響が伝わり、景気の減速幅が予想よりも大きくなる恐れがあります。

一方、幸いなことに、世界最大の経済規模を持つ米国が底堅い動きを続けています。企業の業況判断を示すISM指数は、2011年12月まで景気拡大と後退の分岐点である50を上回っており、雇用者数も15カ月連続で前月比増加を続け、失業率も低下してきています。この先、欧州の影響をある程度受けることは避けられないとしても、今の底堅い推移を維持した状態から大きく悪化することがなければ、高めの成長ペースを維持する新興国とともに世界経済の下支え役となり、年後半には世界経済が回復へのきっかけをつかむことも有り得るでしょう。逆に、米国の景気減速幅が大きくなると、世界経済は下支え役を一つ失うことになるだけでなく、米国で再び金融緩和への期待が高まることで、為替レートが円高ドル安に振れやすくなります。米国の景気は今のところ問題がないためにあまり話題になりませんが、2012年の世界経済全体にとって重要な位置を占めることは間違いありません。

こうした海外経済情勢の中で、我が国の経済はどうでしょうか。今年は復興需要が本格的に出始めることで、国内景気はある程度押し上げられると見られ、2012年度の経済成長率も1%台のプラスが予想の中心になっています。しかし復興需要だけでは、景気押し上げ効果が期待できる期間・地域が限られるため力不足と言わざるを得ず、持続的な景気回復のためには、海外経済の成長を背景とした輸出増加が必要なのは震災前後で変わりません。その輸出が、欧州債務問題の影響などで伸び悩みを見せているのは日本にとって懸念材料の一つです。今のところ、米国と新興国が底堅い動きを維持することで海外経済全体では一定の成長ペースを保ち、日本の景気も大きく崩れることはないというのが基本的な予想ですが、投資家にとっても、日本経済全体にとっても、欧州の動向をはじめとする海外経済動向や為替レートが気がかりな一年になりそうです。

※本資料は、作成時点(2012年1月11日現在)で入手可能なデータにもとづき当社調査部が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

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