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FRBによる積極的な金融緩和が円ドルレートに及ぼす影響

1月24日と25日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)において連邦準備制度理事会(FRB)は、現行のフェデラルファンド(FF)レートの誘導目標(0〜0.25%)を据え置き、FFレートを異例の低水準に維持し続ける時期について、従来の「2013年半ばまで」から「2014年遅くまで」へと先延ばす方針を公表しました。声明文の内容を文字通り受け止めれば、FFレートをこの先2年半の間ゼロ・パーセント近くに据え置くという驚くほどの積極的な追加金融緩和政策を表明したことになります。

この2ヶ月間の円ドルレートの動きを振り返ると、欧州債務問題悪化への懸念もあり、米国経済指標の改善には全く反応せず、むしろ円高ドル安の流れが続きました。この間の米国株価の推移と比べてみると、経済指標好転を受け上昇著しい米国S&P500株価指数とは対照的に、円ドルレートは78円前後の水準から76円前後へと2円ほど円高が進み、株価水準との乖離が目立っています(図1)。

こうした円高ドル安の動きを最もよく説明した指標としては、冒頭の追加金融緩和策を受けて低下した米5年債レートの動きが挙げられます。1月25日のFOMC声明文公表後、2年半も低金利政策が続くとの予想を受けて米5年債レートは昨年末の0.9%前後から0.7%前後へと0.2%ポイントも低下しました。昨年末以降の円高ドル安の動きと長期金利の低下は一致して推移していることがわかります(図2)。

長期金利の推移に円ドルレートが反応するというのはどういうことでしょうか。米国の長期金利低下は日米金利差を縮小させたので、円ドルレートもドル安方向に推移したというのが最も一般的な解釈ですが、他方で、FRBが金融緩和を長く続けざるを得ないほど実は米国経済の回復ピッチは強靭ではなく、為替市場はそれを見透かしてドル安が進んだという解釈も成り立ちます。

米国経済の趨勢を最も早く表す企業景況感は、今のところ欧州債務問題が悪化するなかでも改善を続けています。1月の米ISM製造業指数は54.1と景気拡大・悪化の境目である50を超えて推移し、株価上昇を支える大きな要因となっています(図3)。但し、50台前半という景況感指数の改善ピッチに比べると、やや株価指数の上昇が目立ちすぎる面もあり、今後欧州経済が景気後退に入っていくなかで、米国の企業収益が順調に拡大していくのかは注意しておく必要があるでしょう。

こうした状況も反映して、先行き望ましいFFレートの誘導水準についてのFOMCメンバーの見方も大きく分かれています。下図は1月25日のFOMC声明文と同時に公表されたFOMC委員17名のFFレート予想を2012年から2014年までプロットしたものですが、2014年遅くまでゼロ金利を維持するとの声明文の内容と裏腹に、すでに2013年末から0.5%を超えた政策金利が望ましいと考える委員も増え始めるなど、政策金利の予想水準に関して、委員の間で大きな相違が生じていることがわかります(図4)。

このように、足元で生じている円高ドル安の動きを詳しく見ると、その裏側には経済の回復期待を強く織り込む株式市場とドル安が続く為替市場の対立、同じく上昇著しい株式市場と金利が低下する債券市場の対立、さらに言えば、長期金利を左右する将来の政策金利予想についてもFOMCのなかで対立した見方が併存する状況にあるといえます。

米国経済がこのまま回復を続け低金利政策の終焉が近付くにつれ米国長期金利は緩やかに上昇していくとの平均的な見方に立てば、いずれはドル高・円安方向に進むという考え方が自然ですが、背後にこのように対立した見方があるなかでは、実際にドル高・円安方向に進むかどうかは依然として不透明であり、円ドルレートの行方もまだ振れの大きい展開が続くと見た方が良さそうです。

※本資料は、作成時点(2012年2月8日現在)で入手可能なデータにもとづき当社調査部が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

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