とっておきのマネー情報

我が国の景気と政策効果

2012年に入ってから、政府による経済政策が我が国の景気を押し上げ始めたようです。公共投資が増えている他、2011年12月にエコカー補助金が復活したことを受けて、自動車販売台数は明らかに増加しています。2012年1-3月期のGDPは、個人消費と公共投資の増加を牽引役として、前期比年率+4.1%という非常に高い伸び率を達成しました。

このような政策効果が持続的な景気回復につながることに期待したいところですが、この可能性については、まだ慎重に見ておくべきだと考えています。エコカー補助金で自動車の販売台数を継続的に押し上げることは難しい上に、補助金の支給が終了するときには、前回のエコカー補助金(2009年4月〜2011年9月)同様の急激な反動減は避けられません。また公共投資についても、その恩恵を受ける範囲が限定されている上に、復興が進めばさほど遠くない時期に減少に転じることがはっきりしていますので、長期間に亘って企業収益全体を押し上げる力には限界があります。実際に、企業の収益計画を日銀短観(大企業)から見ると、2011年度下期の10兆円を底として回復していくようになってはいますが、2012年度下期の計画値11.3兆円は、東日本大震災が起きた2010年度下期の12.9兆円よりもまだ低い水準に留まります。発電エネルギーを火力にシフトさせたことによって燃料輸入コストが大幅に増加したことも収益圧迫要因になっています。一部では過去最高益を実現する企業も出ているとの報道もありますが、企業全体の収益状況はまだ十分回復したとは言えないことが分かります。収益に対する見方と同様に、企業は設備投資に対しても慎重で、大企業の設備投資額の計画(2012年3月時点)は、2011年度で前年比+1.1%、2012年度も±0.0%と殆ど増えていません。

国内需要の盛り上がりが一時的で、反動減に見舞われるリスクがあるとすれば、国内景気の安定した回復には、過去何回かの景気回復期と同様、海外経済の改善と日本からの輸出増加の持続が必要条件であり、輸出が回復ペースを取り戻すまで、国内景気は「政策効果なしでは弱い」状態が続くと見られます。

現時点では、公共投資や自動車販売がピークアウトする2012年度後半頃からは、金融引き締めから緩和に転じている新興国の景気拡大ペースが戻り、日本の輸出も増えていくことで我が国の成長率も1%半ば以上を維持するというのが標準的な見方です。但し、昨年半ばまで景気過熱気味とされた新興国経済がこのまま景気の軟着陸に成功して再び上向きに転じることができるのかどうか、そしてギリシャ中心に政府債務問題が再び燻り始めた欧州の先行きなど、海外経済の下振れリスクは依然として多く残っています。また国内にも、燃料輸入コストの増加や政治の混乱など、実体経済・マインド双方の下振れ要因があります。内外景気の先行きに対しては、リーマンショック期のような急激な悪化を懸念する必要はないとしても、まだ安心できない時期が続きそうです。

※本資料は、作成時点(2012年5月17日現在)で入手可能なデータにもとづき当社調査部が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

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