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利下げの背景にある豪州経済の現状と見通し

豪州経済は、リーマン・ショック後も他の先進国と比べて好調な推移を見せました。石炭・鉄鋼石を主力輸出品目とする同国が、中国をはじめとする新興国高成長に伴う資源の需要増加と価格上昇の恩恵をフルに受け、鉱業部門が景気を牽引したことが最大の要因でした。こうした中、豪州準備銀行(RBA)が定める政策金利は他先進国よりも速いペースで引き上げられ、2010年には4.75%に達しましたが、2011年末からこの流れが逆転し、11月と12月にそれぞれ0.25%、2012年に入ってからは5月に0.5%、続く6月に0.25%引き下げられ、現時点では3.5%となっています。

RBAが利下げに転じた最大の要因は、欧州債務問題の再燃によって世界全体の先行きに対する不透明感が高まったことです。このことは、2011年の11月と12月、そして2012年の5月以降という利下げのタイミングが、ちょうど欧州債務問題が再燃して国際金融市場に不安を与えた時期と一致することからも明らかでしょう。欧州の動向は、RBAが2012年6月の利下げの際に出した声明文でも、景気下振れリスクの筆頭に挙げられています。そして欧州とともに、これまで豪州経済を牽引してきた中国景気の減速にも言及しており、これら二つの外的要因がRBAに利下げを促す材料となりました。

豪州国内の状況に目を転じると、2012年1-3月期の豪州経済成長率は+1.3%と、個人消費や設備投資の増加で1%を超えるプラス成長を確保しています。この点では、豪州経済全体では底堅い動きを続けていると言えるでしょう。

更に中身を見ていくと、依然として鉱業部門の突出した強さが目立ちます。例えば、豪州の設備投資の動きを鉱業・製造業・それ以外に分けてみると、リーマン・ショック以降は専ら鉱業部門が設備投資全体を引っ張っていて、それ以外の分野の設備投資はあまり伸びていないこと、そして2012年もこの姿が大きく変わりそうにないことが分かります。また、雇用者数の動きを見ても、鉱業部門が突出して伸びている一方、これまで高水準の豪ドルレートに悩まされてきた製造業では、依然として回復が遅れています。

このように、鉱業部門の牽引力が豪州経済の強みであることは間違いありませんが、その他の分野への波及がなかなか進んでおらず、鉱業部門に依存した構造は変わっていません。このために豪州景気全体が海外経済の動きの影響を受けやすい状態から脱していないことが、利下げに転じた国内要因の一つと言えるでしょう。

直近6月の利下げの際にRBAが出した声明では、この先の政策金利について明確な方針は示されていませんが、今の状況を踏まえると、豪州の金利、ひいては為替レートは、今後も欧州・中国を中心とする海外情勢に大きく左右される展開が続くと考えられます。

※本資料は、作成時点(2012年6月13日現在)で入手可能なデータにもとづき当社調査部が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

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