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今年後半の中国景気のカギを握る経済政策の効果

政府債務問題に悩まされる欧州景気悪化の影響などもあって、中国の景気が減速しています。2012年4-6月期の中国実質GDP成長率は前年比7.6%増と約3年ぶりに8%を下回りました。

こうした中注目されるのが、中国政府による経済政策です。2008年に起きたリーマン・ショックでは中国の景気も打撃を受け、経済成長率は6.2%まで低下しました。この時に中国政府は「4兆元投資」と言われる大規模な経済政策を打ち出し、これによって景気は急回復、1年後の2009年10-12月期の成長率は10%を超えました。

当時の「4兆元投資」は、政府が支出を増やす財政政策と、政策金利の引き下げや銀行貸出を増やす金融政策を合わせたものです。このうち金融政策の側面に目を向けると、2008年の後半から預金準備率と政策金利の引き下げが始まり、ほぼ同時に企業向け銀行貸出のうち短期貸出(手形割引含む)が急激に伸び率を高めたことがわかります。そして数カ月後、2009年に入ってから、中長期貸出が伸び率を高め、同時に固定資産投資の伸びが加速しています。銀行貸出増加の牽引役が短期貸出から中長期貸出にシフトし、これが固定資産投資増加につながるというルートで、金融政策が中国の景気を押し上げたのです。

このような前回の経験を踏まえると、今回の局面でも、金融政策の効果が中国景気を決める大きな要素となります。

2012年以降の企業向け貸出を見ると、今のところ短期貸出は既にかなり高い伸び率となっている一方、中長期貸出と固定資産投資の伸び率は低いままです。この先、銀行貸出の中身が固定資産投資につながる中長期貸出にシフトしていくかどうかが、金融政策の効果を見る上でのポイントになるでしょう。

一方の財政政策も出始めており、例えば湖南省長沙市は、総額およそ8,920億元という、地方政府にしては大規模な経済政策を打ち出しています。その内容や期間、財源などについて不確定要素も多いため、必ずしもこれだけの規模になるかどうかは分かりませんが、中央政府や他の地方政府からも同様の施策が出てくるであろうことを考えると、財政政策もこの先の中国景気を押し上げる要因になると見られます。

2008年の「4兆元投資」は、経済のV字回復に成功した反面、過剰な設備投資や不動産バブルを招いたという副作用もありました。このため、今回打ち出される金融緩和や財政支出はある程度抑制されたものになり、景気回復ペースも緩やかなものに留まると考えるのが自然です。このような見方が正しいかも含めて、今後の経済政策の効果は、今年後半の中国景気が今のような「減速」で踏みとどまるのか、「失速」に陥るのかを分ける大きなポイントとして注目されます。

※本資料は、作成時点(2012年8月8日現在)で入手可能なデータにもとづき当社調査部が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

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