とっておきのマネー情報

日銀の金融緩和強化の効果をどう見るか

最近の景気減速ペースがやや速くなっていることを受けて、日本銀行は、9月に続いて10月にも金融緩和の強化に踏み切りました。2カ月連続の金融緩和強化は異例のことで、それだけ日銀の危機感が強いことを示すものといえます。

今回打ち出された施策は、主に二つあります。一つは、日銀が国債や株式ETFなどの金融資産を買い入れる枠(資産買入等の基金)を増やすもので、少しでも金利を下げることを通じて、円高圧力の緩和や景気刺激効果を出すことを企図したものです。この枠は、2010年10月に35兆円で設けられた時から、円高圧力が強まった時に金額が増やされるケースが多くありました。例えば、2010年10月にこの基金が設けられた時は、1ドル=85円から80円に向けて円高が進んでいた時期でした。その後数回に亘って枠が拡大された時は、ほぼ円高が進んでいた時期になっています(下図の赤枠部分)。

今回は、円高が進んでいたわけではありませんが、海外経済情勢の悪化が国内景気に及ぼす悪影響を少しでも緩和するために、従来の80兆円から91兆円に拡大されました。この決定が行われる前、金融緩和の強化を予想した為替市場で円安が進んでいましたので、この点では円安にする効果もあったと言えるかも知れません。こちらの方は、景気刺激が目的という点とその形態において、既存の施策の延長線上にある決定でした。

そしてもう一つは新たな動きで、銀行貸出を増やすために無制限の枠を設けるものです。具体的には、貸出が増えた銀行に対して、増加した分の金額を低金利で、金額に制限を設けず日銀が貸出す施策を導入しました。銀行がこの制度を利用すれば、今なら0.1%で最長3年までの固定金利という非常に低いコストで資金調達ができるため、収益を得やすくなるメリットがあります。これまでも、日本経済の成長力を引き上げるための銀行貸出に対して、日銀が低利資金を融資する制度はありましたが、総枠が決まっていた(5.5兆円)のに対して、今回は無制限となっているのが大きな特徴です。

銀行貸出は長年に亘って減少を続けていますが、この施策によって増加に転じれば、国内経済を巡るお金の量が増え、これによって金融緩和策の効果が強まります。また、今回の制度は外貨建ての貸出を増やした銀行も利用することができるようになっています。外貨建ての貸出が増えれば、外貨への需要が強まることによる円安効果も期待できます。実際にどの程度の金融緩和効果が出るか、為替レートにどの程度のインパクトがあるかは、この先の銀行貸出の動き次第ということになります。

今のように国内外の景気が減速する中では、借入をして投資しようという動きは弱まります。このため、基本的には今回の施策に対して過度な期待をすることは難しいでしょう。しかし、これ以上の財政支出による景気刺激が難しく中央銀行の金融政策に期待が集まる中、今回の追加金融緩和策がどの程度の効果を発揮できるかは、この先の国内景気だけではなく、物価や為替レートの動向を見る上でも注目すべきポイントの一つになるでしょう。

※本資料は、作成時点(2012年11月8日現在)で入手可能なデータにもとづき当社が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

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