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急激な円安進行の背景と今後の見通し(2013年1月)

2012年末頃から、急ピッチで円安が進みました。2012年10月から11月頃は1ドル=78〜80円だった円ドルレートは、2013年に入ってから一時同88円を超えており、この間の円レート下落幅は1ドル当たり10円を超えています。

今回の円安進行のきっかけは、国内外双方にあり、これらがタイミングよく重なったことがあります。海外では、欧州の政府債務問題が欧州中央銀行による金融安定化策によって昨年夏以降落ち着いた状態を維持していることや、米国では住宅市場が回復し始め、雇用情勢も緩やかながら改善を続けるなど景気が回復基調にあるなかで、大規模な減税失効と歳出削減により生ずる「財政の崖」が一部先送りされ、年初以降の米国経済の急激な失速が一旦回避されるとの見方が広がったことが挙げられます。

ただし、最も大きかったのは国内要因にあり、自民党の安倍総裁が日銀に「大胆な金融緩和」を求める発言を繰り返したことで、金融緩和による円安効果への「期待」が高まったことでした。このような内外の要因が重なって、過去にあまり例のないペースでの円安につながったという整理ができるでしょう。

もっとも、この先の円レートは、過去3カ月の円安がこうした「期待」に基づく部分が大きかっただけに、その期待が裏切られると一時的に円高に戻る可能性もあると考えられます。

円安の最大の要因となった日銀の金融緩和に対する期待については、安倍首相は日銀との政策協定(アコード)を結び、具体的な数値と期限を伴った物価上昇率達成目標を設定するための日銀法改正にまで言及するなど、かなり強い調子で日銀に対する緩和要求姿勢を示していました。しかし2012年末頃から、甘利再生相の「中央銀行と政府が物価上昇目標を掲げて何年何月までという表現をしている国は世界中にない」という発言があった他、政府・日銀間の政策協定について麻生財務相から「協定という言葉にこだわる必要はない」という発言が出るなど、日銀に対する要求姿勢がトーンダウンし始めています。本来確保されるべき中央銀行独立性に対する配慮がなされたものと見られ、これらは金融緩和への期待で進んできた円安を戻す要因となり得ます。

海外においても、欧州の金融市場は落ち着いた状態を保っていますが、ギリシャやスペインの財政赤字問題が解決しているわけではない上に、欧州実体経済の悪化が続いているため、この先税収減による財政赤字の更なる拡大や銀行不良債権比率の高まりが懸念されます。そして米国では、「財政の崖」を一旦乗り切ったとはいえ、防衛費などの歳出強制削減措置は2か月延期されたに過ぎず、法律で定められている連邦政府の債務額上限を引き上げなければならないという「債務上限問題」は解決されていません。欧米双方に残るこのような問題が再燃し、国際金融市場の緊張が高まった場合には、再び円高圧力が強まる可能性に十分留意する必要があります。

ではさらに円安が進む条件は何でしょうか。米国に絞れば、米国経済が回復からさらに堅調な姿に戻ることが挙げられます。現時点では、財政に関する不確実性によって、米国企業が従業員雇用や設備投資を控えるなど、まだ実際の経済への悪影響が全て解消されたわけではありません。この不確実性が払拭されれば、企業の設備投資が回復し、雇用情勢の改善ペースもより加速することで成長率も高まり、米国の金利上昇観測が強まることを通じて、今のような期待先行ではなく経済の実態を伴った円安局面に入ると考えられます。そこに至る時期は2013年半ばになると見込んでおり、従って、2013年前半までの円ドルレートは、市場の期待の変化に影響されやすい、振れの大きい展開になる可能性が高いと考えられます。

※本資料は、作成時点(2013年1月17日現在)で入手可能なデータにもとづき当社が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

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