とっておきのマネー情報

持続的な株価上昇のために必要なもの(2013年3月)

日銀の金融緩和強化に対する期待によって、昨年秋から生じた円安の流れは年が明けても続き、円ドルレートは1ドル=80円前後から一気に同90円台前半まで円安が進みました。そしてこの間に日経平均株価は8,000円台後半から11,000円を超える水準まで上昇し、景気の先行きに対する期待の高まりを示しています。

実際の経済の動きにも、上向きの兆しが出始めました。国内景気との連動性が最も高い鉱工業生産指数が1月に前月比+1.0%と2カ月連続で増加し、この先2,3月も増加するという予想になっているのが、その一つです。実体経済の回復スピードは株価に比べると緩やかなものに過ぎないものの、双方の方向が揃いつつあることは明るい動きと言えます。

尤も、この上向きの兆しが持続的な景気回復となり、政府と日銀が目指すデフレ脱却が間もなく実現するために必要な条件は、まだ揃っていません。というのは、雇用者の賃金減少がまだ続いていることです。国内企業は先行きに対してさほど明るい見通しを持っていないために、人件費の増加に対して慎重な姿勢を崩していないことが窺えます。家計所得環境がこのような状態では、モノの値段はなかなか上がらないためデフレ脱却も望めない上、円安によるデメリットの一つであるエネルギー価格上昇で家計企業が打撃を受け、消費者マインドを悪化させる恐れもあります。

多くの国内企業が人件費の増加を受け入れて家計所得が増え、エネルギー価格が上昇する中でも消費が増加して国内企業の売上と利益が増え、更に人件費が増える・・・という好循環に入り、デフレ脱却が視野に入るためには、必要な要素が二つあると考えています。

そのうちの一つが、海外景気の回復が続くことです。円安が持続的な株高と景気回復につながるまでには、円安によって輸出企業の業績が改善し、その恩恵が国内に波及していくという経路を辿ります。しかしいくら円安で輸出競争力が上がっても、輸出先の景気が悪ければ輸出は増えず、国内景気も改善しません。実際に、2000年度以降の円ドルレートと株価の動きを見ると、円安になっても株価が下がる年があり、必ずしも円安が株価上昇をもたらしてきたわけではありません。これは、株価が為替だけで決まるものではなく、内外の景気に大きく左右されることを示しています。

そしてもう一つは、日本経済の体質そのものを強くして経済成長力を引き上げることです。円安と海外景気回復だけでは、その恩恵を受けられるのは輸出企業周辺に留まります。広い範囲の企業や個人が景気回復の恩恵を受け、デフレ脱却まで到達するためには、やはり日本経済の成長力そのものを引き上げることが必要です。

この点については、安倍政権が日本経済の成長戦略を6月までに取りまとめるとしています。円安と株高をもたらした金融緩和に対する期待だけでなく、「実際の経済もこれから良くなる」という期待を高めるような施策が打ち出されれば、国内企業も前向きな動きを強め、人件費を増やす動きが増えていきます。安倍政権がTPP交渉参加の意向を正式に表明し、国内調整に乗り出したのはその第一歩として評価できます。これを皮切りに、日本経済の先行きへの期待を高め、実際に経済成長力を引き上げられるかが、持続的な経済回復と株価安定のための重要なポイントとなるでしょう。

※本資料は、作成時点(2013年3月11日現在)で入手可能なデータにもとづき当社が執筆したものであり、将来の見通しおよび正確性、完全性を保証するものではありません。

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