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選定委員紹介

栗田 亘 くりた わたる
栗田 亘 くりた わたる
コラムニスト

第五回 「わたし遺産」
募集に寄せて

共感を記憶にとどめたい

真冬のその日は、朝から期待で心が躍ります。「わたし遺産」の最終選考日なのです。当日までに、たくさんの候補作品をボクはボクなりに読み込んでいます。その評価と、選考に当たったほかの方々の評価が一致するか、あるいはどう違うか――。
カンカンガクガクの議論が数時間。最後は不思議に、みんなが等しく納得する結果に落ち着きます。「どれも良かったですね」「そう、今年も」。笑みがこぼれます。
応募したお一人お一人にとっての「わたし遺産」が、作品を読む一人一人の共感を誘うのです。「とても素敵な話」「いつもでも記憶にとどめたいですね」と。5回目の今年も、過去4回同様、きっとそうなるでしょう。

人物

朝日新聞社会部記者を経て論説委員となり、2001年3月まで6年近く、朝刊の『天声人語』を執筆。早稲田大学大学院客員教授などを経て現在、日本エッセイスト・クラブ常務理事、日本ナショナルトラスト理事、『朝日川柳』選者(選者名・西木空人)、『小田原寺子屋スクール』の漢文の先生。数誌にコラム、エッセイを連載中。

著作

「天声人語」
「漢文を学ぶ(一)~(六)」
「書き上手」
「おとなのための漢文51」
「本は、ぼくの先生だった」
「凹んだときに効く漢文」
「リーダーの礼節」
「ポケット川柳」
「樹寄せ72種+3人とのエコトーク」
「明日は、どうしてくるの?」
(講談社・15歳の寺子屋シリーズ)
「2030年の日本へ」(共著) 他

穂村 弘 ほむら ひろし
穂村 弘 ほむら ひろし
歌人

第五回 「わたし遺産」
募集に寄せて

口裂け女の思い出

ふと思いついて、「〈わたし遺産〉なに?」と妻に尋ねてみた。「〈わたし遺産〉ってなに?」「自分にとって大切なモノやコトとヒト、それにまつわる思い出のことだよ」「んー、子供の頃、そろばん教室の近くに口裂け女が出たって聞いて、怖いって泣いたら、お父さんが毎週迎えに来てくれたことかなあ」。へえ、と思う。本人は本気で怖かったんだろうけど、想像すると微笑ましい。それにしても、優しいお父さんだ。「口裂け女なんていないよ」と云わずに、ちゃんと迎えに来てくれたんだから。そう思いながら、妻の顔を見ると、なんだかぼんやりしている。入院中のお父さんのことを考えているんだろう。
よかったら、教えてください。あなたの〈わたし遺産〉はなんですか?

人物

1990年に歌集『シンジケート』でデビュー。研ぎ澄まされた言語感覚で創作・評論ともに活躍。『短歌の友人』で第19回伊藤整文学賞、『楽しい一日』で第44回短歌研究賞を受賞。また、石井陽子とのコラボレーション『火よ、さわれるの(It’s fire,you can touch it)』でアルスエレクトロニカ・インタラクティブアート部門honorary mention入選。近刊に『ぼくの短歌ノート』。『鳥肌が』は第33回講談社エッセイ賞受賞。

著作

「あかにんじゃ」
「まばたき」
「手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)」
「ラインマーカーズ」
「世界音痴」
「現実入門」
「にょっ記」
「絶叫委員会」
「君がいない夜のごはん」
「求愛瞳孔反射」
「蚊がいる」 他

大平 一枝 おおだいら かずえ
大平 一枝 おおだいら かずえ
ライター

第五回 「わたし遺産」
募集に寄せて

嬉しい副次効果

「わたし遺産」の大賞選びは、とても幸福な作業である。選びながら、たくさんの宝をもらえるからだ。
失くしたくないものは、過去からの贈り物だけとは限らない。今日感じた子育てや家事や仕事や出勤途中の小さな気付きでもいい。言葉、癖、慣習、しぐさなど、形にならないものもある。ああ、誰かに伝えたいな、未来にもつなぎたいなと思ったら、それが、わたし遺産。決まりはないのだ。
嬉しい副作用がある。応募しよう、と思った瞬間から、ものを見つめる視点が変わる。すると、何気なく過ごしている日常が、いかに輝き満ちた尊いものか、気付かされる。応募する人も選ぶ側もハッピーになれる。こんなコンテスト、ほかにちょっとない。

人物

編集プロダクションを経て1994年、ライターとして独立。『天然生活』『dancyu』『東京人』『Discover Japan』『暮しの手帖別冊』『NHKステラ 世界遺産 心の旅』等数多くの媒体にライターとして参加。近刊に『届かなかった手紙』(角川書店)、『日々の散歩で見つかる山もりのしあわせ』(交通新聞社)がある。朝日新聞デジタル『&w』で「東京の台所(写真・文)」を連載中。

著作

「届かなかった手紙」
「あの人の宝物」
「紙さまの話」
「男と女の台所」
「東京の台所」
「昭和ことば辞典」
「もう、ビニール傘は買わない。」
「日曜日のアイデア帖」
「かみさま」
「ジャンク・スタイル」
「信州おばあちゃんのおいしいお茶うけ」 他

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