宝物をシェア

だれの生活にも色があり、匂いがあり、音がある。しかし、巻き戻したり、止めたりできないから、そのなかにきらりと光る輝きがあってもつい見落としたり、何日かしたら忘れてしまいやすい。「わたし遺産」は、そんなささやかで、かけがえのない時間を書き留めて、みんなで共有しあおうという珍しいコンテストだ。
自分の中だけにあるものとは限らない。自然の恵みや失いたくない習いや営み、未来に遺したい宝物ならなんでもよい。
これまで2回の選考委員をさせていただいた。選ぶことが任務なのに、学ぶことの方がずっと多い。読んだあと、みな笑顔になる。心が丸くなる。少し涙目になることもある。こんな優しくて風変わりな宝物探しがほかにあろうか。未来に遺したい宝物を入れる箱。それが「わたし遺産」だ。
蓋を開けて待っている。ふるってご応募を。

大平 一枝