医療技術の進歩などにより、我が国の平均寿命がさらに延び、多くの人が100歳以上の長い人生を生きることになるといわれていますが、現在の社会や企業の各種制度は、「人生100年」を前提としていないため、これまでになかったさまざまな不安を抱えることになることが予想されます。三井住友信託銀行では2019年4月、「人生100年応援部」を新たに設置し、「人生100年時代」の到来により生じるさまざまな課題に対し、適切なソリューションを提供してまいります。

人生100年応援部 部長
谷口 佳充
昭和から平成に移った頃「これから人生80年の時代になる」と言われ、さまざまな変化がございました。あれから30年、多くの方に「百寿」が訪れる令和の時代において、信託をはじめとしたソリューションで、皆さまの豊かな人生を応援いたします。
人生100年応援部 部長 谷口 佳充氏

人生100年応援部

当社では、「人生100年時代」の到来により個人のお客さまに生じるさまざまな課題に対し、適切なソリューションを提供することを目的とした「人生100年応援部」を2019年4月1日付で新たに設置しました。医療技術の進歩などにより、我が国の平均寿命が延び、多くの人が100歳以上の長い人生を生きることになるといわれる中、現在の社会や企業の各種制度は、人生100年を前提としていないため、長寿化の進展により、老後の資産不足から、いわゆる老老介護や認知症発症後の生活期間の長期化など、これまでになかったさまざまな不安を抱えることになります。一方で、より長くなる人生を前向きに捉えた動きも広がっており、ひ孫を含めた四世代で団欒されるご家族や、新たな趣味や学び、社会参加にチャレンジされるご高齢者も増えています。今般、設置した「人生100年応援部」では、長寿化による人生の時間軸の変化が生じさせるお客さまのニーズの多様化、高度化を捉え、お客さまへ安心や安全、楽しみをご提供すべく、長年培った信託銀行グループならではのノウハウを生かしてソリューションメニューを開発し、順次ご提供いたします。

「人生100年時代」はもう現実

「人生100年」というと、ベストセラーとなったリンダ・グラットン著書の『ライフ・シフト』を思い浮かべる方も少なくないと思います。100歳生きる人生に合わせて、私たちは働き方だけでなく、生き方を変えるべきだ、というメッセージが込められた本です。本書には、平均寿命についてこう書かれています。

  • 今20歳の人は100歳以上、40歳以上の人は95歳以上、60歳の人は90歳以上生きる確率が半分以上ある
  • 2007年に日本に生まれた子どもの50%は107歳まで生きる

過去において、最初に平均寿命を大きく延ばしたのは、“乳幼児”死亡率の改善です。その次は、“中高年”の慢性疾患、特に心臓血管系の病気とがん対策が進んだことにより、平均寿命が改善されました。そして、その次に平均寿命を大きく上昇させるのは、“高齢”にまつわる病気の克服だろう、といわれています。長生きが当たり前となる人生において、『ライフ・シフト』では、楽しい人生を過ごすために必要な働き方を考えるべきであり、人生を楽しむには、「見えない」資産-家族や友人関係、肉体的、精神的な健康と幸福、自分についての深い知識、多様な人的ネットワークなど-を蓄積していくことが大切だと述べられています。

日本人の年齢別生存者比率

年齢別生存者比率をみると、女性では90歳時点でも5割、95歳時点でも1/4の人が生存する。

日本人の年齢別生存者比率

大切なのは「見えない」資産

“フレイル”は、健康な状態から介護が必要になっていく途中の、中間的な虚弱段階を表す言葉であり、身体的フレイル・精神的フレイル・社会的フレイルの3つに分けられ、それぞれが相互に影響しあっています。特に社会的フレイルが高じて社会とのつながりが希薄になると、心身の健康状態がドミノ倒しのように一気に悪化することが、研究の結果、明らかになっています。私たちは、「見えない」資産で社会とつながり、健康を保っています。友人と食事やお喋りを楽しんだり、不安や悩みを相談したり。時には自分の得意な分野を人に教え、人の役に立つことに喜びを感じたりもするでしょう。私たちの健康には、生きがいや楽しみが必要であり、「見えない」資産-社会とのつながり-がそれをもたらしてくれる、長い老いを楽しく生きる大切な要素といえるでしょう。日本人は「親しい友人がいない」「頼れる人がいない」傾向が諸外国に比して高いようですので、もっと積極的に「見えない」資産を大切にすべきなのかもしれません。

フレイルの概念

フレイルの概念

高齢期において「社会性」を維持する意義

高齢期において「社会性」を維持する意義

長い天寿を全うするために

“高齢”にまつわる病気を克服し、長い天寿を全うした人が亡くなる時代になると、できれば最期のときを悔いなく迎えたい、自分の身終いをしておきたい、と考えるようになるでしょう。そのためには、自分が最期のときをどう迎え、どう身終いするかの意思表示をしておく必要があります。よく考え、決める準備をしっかりと行わなければなりませんが、いざ自分の最期を考えるとなると、心も揺れ、不安な気持ちも訪れてくることと思います。しかし、以下にもあるように、私たち人間には死にゆく力、やすらかに死を迎えられる仕組みが備わっているそうです。

人間の身体がもつ「死にゆく力」を邪魔しない

ヒトは、進化の過程で「死のプログラム」を獲得した

やすらかに「死」を迎えられる仕組みが備わっている

身体に備わっている「死にゆく最後の力」を最大限に引き出すことが、やすらかな最期につながる

あすか山訪問看護ステーション 総括所長 平原優美氏

本人が自分の最期の方針を決める割合が一番低いのが日本

本人が方針の主導権を握る「理想」と「現実」(がんケース)

本人が自分の最期の方針を決める割合が一番低いのが日本

親しい友人の有無

日本は同性、異性とも親しい友人がいない割合が、欧米3カ国に比して高い。

(%)

日本 アメリカ ドイツ スウェーデン
調査回 第7回 第8回 第7回 第8回 第7回 第8回 第7回 第8回
友人がいる 全体 73.7 73.1 84.3 84.7 80.0 82.2 88.7 90.5
同性の
友人がいる
53.2 57.5 43.4 39.8 32.6 32.2 28.4 28.1
異性の
友人がいる
1.0 1.9 3.6 3.2 2.4 2.4 2.7 3.2
同性と異性の
友人がいる
19.5 13.8 37.3 41.8 45.0 47.6 57.6 59.2
いずれもいない 26.2 25.9 15.7 11.9 17.7 17.1 11.4 8.9
わからない 1.0 3.4 0.7 0.6
無回答 0.1 2.3

「わからない」の項目は第8回より追加

出典:内閣府「平成27年度 第8回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果」より抜粋

同居の家族以外に頼れる人

日本は同居の家族以外に頼れる人がいない割合が欧米3カ国に比して高い。

(複数回答)(%)

日本 アメリカ ドイツ スウェーデン
調査回 第7回 第8回 第7回 第8回 第7回 第8回 第7回 第8回
別居の家族・親族 60.9 66.2 63.6 60.7 73.7 69.0 58.6 59.2
友人 17.2 18.5 44.6 45.0 40.7 45.0 34.9 43.4
近所の人 18.5 18.3 23.7 24.6 38.2 42.2 26.5 31.2
その他 3.3 3.7 6.4 7.6 2.9 5.0 7.5 7.7
頼れる人はいない 20.3 16.1 10.5 13.0 5.4 5.8 9.7 10.8
無回答 0.1 1.8 0.4 0.4

出典:内閣府「平成27年度 第8回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果」より抜粋

この言葉に勇気をもらいながら、「人生100年時代」-長い老い-を元気に楽しく過ごすために、ご自分の人生を考え、準備してみませんか?私たち人生100年応援部が、安心とたのしみで皆さまの豊かな長寿をお手伝いいたします。

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