データでみる同世代の蓄財状況
~セカンドライフの年金や金融資産の実態を知ろう~
 

ご退職の前後では「お金」についての向き合い方が今までとガラッと変わってきます。

「周りの人はどのくらい貯蓄しているのだろう?」「同世代はどのくらい備えているのだろう?」と思ってもなかなか聞きにくい話題なので、ご自身の状況の良し悪しはわかりにくいのではないでしょうか。そこで、同世代の実態をデータで把握したうえで、ご自身のライフプランをお考えいただく参考にしていただければと思います。

 
 
■同世代はどれくらい蓄えているの?

「知るぽると」(金融広報中央委員会)による“家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)”からデータを見てみましょう。

金融資産保有額(金融資産保有世帯)

平均値 中央値
50代 1,825万円 800万円
60代 3,014万円 1,400万円

中央値は全ての数字を並べた場合の真ん中の数値です。一部の極端な資産家が引き上げる平均よりも現実的な数字であるという考え方もあるかもしれませんね。ご自身の退職後の暮らしを思い浮かべながら、1つの参考にしてください。

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■同世代の運用商品保有割合は?

同世代ではどのような金融商品を保有している人が多いのか、こちらも気になるところでしょう。先述の調査“運用種類別金融商品保有額(金融資産保有世帯) <問2(a)>”より、値動きのある債券、株式、投資信託で運用されている金額を抽出し、筆者が比率を計算してみました。

令和元年と令和3年を比較すると、運用商品の保有割合が上がったことがわかります。
コロナ禍のなかで相場が動いたことや、おうち時間が長かったこともあり、これまで興味はあったけど忙しくてできなかった資産運用への取組が進んだものと思われます。

【50代】金融資産に占める運用商品の比率 債券:令和元年は0.7%,令和3年は3.2% 株式:令和元年は9.9%,令和3年は16.5% 投資信託:令和元年は3.7%,令和3年は9.6%
【60代】金融資産に占める運用商品の比率 債券:令和元年は3.8%,令和3年は6.8% 株式:令和元年は11.3%,令和3年は18.1% 投資信託:令和元年は8.2%,令和3年は10.1%

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■退職に向けて今からできる準備とは?

上記のデータで、皆さま世代の方々が相応に資産運用されていることがお分かりいただけたかと思います。
退職金という少なくない金額で人生初の資産運用に挑戦するのは少々心配です。関心があれば、今から無理のない金額の積み立て投資などで資産運用を始めておくのはいかがでしょうか。

また、資産運用を早く始めることで運用期間を長くとることができます。
資産運用において値動きはどうしても避けられないものではありますが、短期的な値動きに一喜一憂することなく長期的な目線で運用をすることで、世界経済の成長を取り込み、安定した収益の獲得が期待できます。

例えば、数万円の少額で株や投資信託を始める、確定拠出年金に加入している方は組み入れている商品の内容や組入比率を改めて確認し過去の残高推移を見てみるなど、大きな金額でなくともすぐに始められる事で資産運用の経験を積むことはできます。

定期的に運用状況を確認していると、株式・為替相場の動きを自分事として捉えられ、退職時に世界情勢を加味して退職金の運用方法を決定できるかもしれません。

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  まとめ
 
 

セカンドライフとお金の関係は非常に密接で重要です。一般的なデータで同世代の実態を知る事で、ご自身の状況を冷静に把握できるのではないでしょうか。今から少しずつ行動し、理想のセカンドライフを迎えられることを願います。

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川部 紀子

【筆者紹介】川部 紀子 (かわべ のりこ)
ファイナンシャルプランナー (CFP® 1級FP技能士)・社会保険労務士
1973年北海道占冠村生まれ。
生命保険会社に8年間勤務し、営業の現場で約1000人の相談・ライフプランニングに携わる。
その間、父ががんに罹り障害者の母を残し他界。
自身も23歳にしてがんの疑いで入院。がんではなく治療不要となるも真剣に生死を考える機会となる。
27歳で肢の不自由な母と暮らすための新築マンションを購入。のちに母は介護認定。生死とお金に翻弄される20代を過ごし、生きるための知識の必要性を痛感する。
自分探しの2度のインド旅行時、ガンジス河で起業を決意。保険以外の知識も広めるべく2004年30歳でFP事務所起業。後に社労士資格も取得し、現在「FP・社労士事務所川部商店」代表。お金に関するキャリアは20年超。個人レクチャー、講演の受講者は3万人を超えた。
業務は、講演・セミナー、執筆、コンサルティングの他、テレビ、ラジオなどのメディア出演も多数。
近著に『まだ間に合う 老後資金4000万円をつくる! お金の貯め方・増やし方』(明日香出版社)『得する会社員 損する会社員 手取りを活かすお金の超基本 』(中央公論新社)がある。

※ 本コラムに掲載している内容は作成時点で入手可能なデータに基づき経済・金融情報を提供するものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。また、執筆者個人の見解であり、当社の公式見解を示すものではありません。

※投資信託には元本割れとなるリスクがあります。また各種手数料等の費用がかかりますので、こちらの注意事項をお読みください。

 

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