FOMC、3会合連続で金利据え置き、経済先行き「さらに不確実に」
日本時間5月8日未明、FOMC(米連邦公開市場委員会)は声明文を発表し、フェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標(政策金利)を4.25%~4.50%で据え置くことを決定しました。
今回の決定は全会一致で、3会合連続の政策金利据え置きとなりました。据え置きそのものは市場の予想通りですが、トランプ米大統領が利下げで景気を下支えするよう圧力をかける中で、景気やインフレ見通し、金融政策の方向性について、パウエル議長の発言に関心が集まりました。
声明文では、米政権による貿易政策を念頭に「経済の見通しを巡る不確実性がさらに高まっている」との懸念が示されました。FRBのパウエル議長はその後の記者会見で、米政権の関税政策が経済にどのような影響を与えるか判断するのは「時期尚早だ」と述べ、その上で金融政策の変更を判断するにあたっては「様子見が良く、急ぐ必要はない」と語り、早期利下げに慎重な見方を改めて示しました。
また、景気が悪化するリスクと物価が高止まりするリスクのどちらが大きくなるか、パウエル議長は「どちらに転ぶかはわからない」と率直に答え、関税を巡る交渉がどこで決着するのか、それが経済や雇用にどれほどの影響を与えるのかが非常に不透明だと説明しました。
金融市場においては、声明文で失業率、インフレ率の上昇リスクが高まったとの言及を受け、ドル売りが優勢となり、ドル円相場は142円台後半まで下落しました。その後パウエル議長が「利下げを急がない」との姿勢を示したことでドルの買い戻しが進み、ドル円相場は143円台後半まで上昇しました。
5月8日の東京外国為替市場でもこの流れを引き継ぎ、正午現在、1ドル=143円60銭付近で推移しています。
今後も引き続き、米金融政策の動向に注目が集まります。
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