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選定委員紹介

栗田 亘 くりた わたる
栗田 亘 くりた わたる
コラムニスト

コロナのお陰さまで……

「モノは考えよう」と言います。ものごとは考え方次第で、良くも悪くも解釈できる。そんな意味ですね。
新型コロナウイルスの出現によって、ふだんの暮らしは一変しました。あれもこれも不自由。けれど、不平・不満を口にしたり、泣き言を繰り返したりしても、ラチはあきません。
ここは「モノは考えよう」じゃないか。憎(にっく)きコロナのお陰で、家でたっぷり考えごとができる。お陰で、見聞きしてきたあれやこれやを、ゆっくり思い返すこともできる、と。
そんなふうに思い出したなかで、ほかの人びとに言い遺しておきたいコトを、モノを、ヒトを、エピソードに載せて綴ってくれませんか。あなたの「わたし遺産」をみんなに、ぜひ。

人物

朝日新聞社会部記者を経て論説委員となり、2001年3月まで6年近く、朝刊の『天声人語』を執筆。早稲田大学大学院客員教授などを経て現在、日本エッセイスト・クラブ常務理事、日本ナショナルトラスト理事、『朝日川柳』選者(選者名・西木空人)、『小田原寺子屋スクール』の漢文の先生。数誌にコラム、エッセイを連載中。

著作

「天声人語」
「漢文を学ぶ(一)~(六)」
「書き上手」
「おとなのための漢文51」
「本は、ぼくの先生だった」
「凹んだときに効く漢文」
「リーダーの礼節」
「ポケット川柳」
「樹寄せ72種+3人とのエコトーク」
「明日は、どうしてくるの?」
(講談社・15歳の寺子屋シリーズ)
「2030年の日本へ」(共著) 他

穂村 弘 ほむら ひろし
穂村 弘 ほむら ひろし
歌人

素敵でなくても

数年前のこと。出張先のホテルをその土地の友人が訪ねてくれた。「これ、差し入れ」と大きな紙袋を渡される。
「ありがとう。なんだろう?」
「菓子だ」
中身を見て驚いた。とても一晩や二晩で食べきれる量ではない。しかも、ご当地の名物というわけでもなく、普通にスーパーで売っているような駄菓子である。相変わらずだなあ。彼は昔からどこかズレていた。案の定、食べきれずに家に持ち帰ると、妻が「?」という顔をした。なんだか面白い。名物のお菓子を渡されてもやがて忘れてしまうだろう。でも、これは一生忘れない。思い出とは不思議なものだ。素敵な出来事よりも変なアクシデントの方が心に残ったりする。それも一つの<わたし遺産>だ。

人物

1990年に歌集『シンジケート』でデビュー。研ぎ澄まされた言語感覚で創作・評論ともに活躍。『短歌の友⼈』で第19回伊藤整⽂学賞、『楽しい⼀⽇』で第44回短歌研究賞、『⿃肌が』で 第33回講談社エッセイ賞受賞。最新歌集『水中翼船炎上中』で第23回若山牧水賞を受賞。

著作

「あかにんじゃ」
「まばたき」
「手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)」
「ラインマーカーズ」
「世界音痴」
「現実入門」
「にょっ記」
「絶叫委員会」
「君がいない夜のごはん」
「求愛瞳孔反射」
「蚊がいる」 他

大平 一枝 おおだいら かずえ
大平 一枝 おおだいら かずえ
ライター

最後のハグ

21歳の娘が中学1年の頃、学校帰りにちょうど買い物途中の私と出くわした。「あ、ママ!」。破顔して駆け寄り、私に抱きついた。思っていたより大きな背中と、髪から漂う少女の香りを感じながら、きっとこれが彼女をハグする最後だと直感的に思った。
予感は当たった。まもなく親と手をつないだりハグしたり子どもじみたことなどしない、お小遣いで私の知らない香りのヘアオイルを買う普通の若者になった。しかしあの瞬間は、永遠に忘れられない宝物だ。こう記しているだけで、ハグに理由など不要の、子を抱きしめる穏やかな喜びが蘇る。
日々を振り返り文字にすると、心が柔らかくほぐれ、一日一日が至極愛おしく思えてくる。ぜひ試してほしい。

人物

編集プロダクションを経て1994年、ライターとして独立。『dancyu』『天然生活』『かぞくのじかん』等、数多くの媒体にライターとして参加。連載に『東京の台所2』(朝日新聞デジタル&w)、『そこに定食屋があるかぎり。』(ケイクス)、『金曜エッセイ』(北欧、暮らしの道具店)、幻冬舎PLUSなど。

著作

「新米母は各駅停車でだんだん本物の母になっていく」
「届かなかった手紙」
「あの人の宝物」
「紙さまの話」
「男と女の台所」
「東京の台所」
「昭和ことば辞典」
「もう、ビニール傘は買わない。」
「日曜日のアイデア帖」
「ジャンク・スタイル」
「昭和式もめない会話帖」他

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