人生100年時代の住まいと住まい方 「幸齢(こうれい)住宅」実現のための計画

“Aging in Place”― 人生100年時代は、住み慣れたまち、大切な自分の住まいで、豊かに自分らしく暮らしていくことを、第一の選択肢としてあげる時代であるといわれています。そして、“Well-being”― 住まいはまた、幸福な人生のためにとても重要な場所、一丁目一番地であるといえます。人生100年応援部は、皆さまのご自宅が、幸福と年齢を一緒に重ねていく「幸齢住宅」となることを応援し、住まいと住まい方についてのさまざまなご提案を行います。

三井住友信託銀行
人生100年応援部 部長
谷口 佳充
昭和から平成に移った頃「これから人生80年の時代になる」と言われ、さまざまな変化がございました。あれから30年、多くの方に「百寿」が訪れる令和の時代において、信託をはじめとしたソリューションで、皆さまの豊かな人生を応援いたします。
谷口 佳充

「幸齢住宅」とAging in Place

Aging in Place は、「高齢者が、加齢や心身の虚弱化にともなう問題に関わらず、住みなれた住宅や地域で、できるだけ長く住み続けること」という意味の言葉ですが、ただ住み続けるだけではなく、QOL(生活の質)を維持・改善しながら暮らし続けることを目的とします。これを実現することは、「幸齢住宅」を具体化することにつながります。

多くの方は住みなれた住まいや地域で暮らし続けることを希望しており、年齢が高くなるほどその傾向は高くなることが見受けられます。(図1)

ただし、身体の状況が弱化することは避け得ないことであり、年齢が高くなるほど自立度が低下する可能性が急激に高まります。(図2)厚生労働省の資料によると、85歳以上の方のうち、男性で約45%、女性では約65%の方が要支援・要介護認定を受けています。(図3)

家計を主に支える者の年齢階層別に見た居住継続の意向調査グラフ
「健康寿命」と自立度の変化パターングラフ
年齢階級別要支援・要介護者の割合グラフ

一方で、少子化や核家族化の進展等により、お子さまなどご家族と同居する世帯が減少し、ご高齢のご夫婦のみ、あるいはお一人で暮らす方が増えています。

また、住宅の老朽化への備えや、社会情勢、自然環境の変化等により防犯・防災面等さまざまな配慮の必要性が高まっています。 住みなれた住まいや地域で暮らし続けるためには、このような状況を踏まえて、あらかじめ今後の住まい、住まい方に係る計画を立てておくことが有効です。この計画を立て実行するためには、広範囲にわたる多くの事柄について考える必要があります。できるだけ早く計画を立て始め、必要に応じてご家族・ご親族とも話し合いながら、じっくり進めるとよいでしょう。

図4Aging in Placeの考え方の一例

Aging in Placeの考え方の一例

計画の進め方

まず、最初にご自身の住まい方に対するニーズを整理します。例えば、以下のような点が考えられます。

  • どこに住むか(今の住まいに住み続けるか、別居中のご家族の近隣等に住み替えるか)。
  • 介護が必要になったら、誰にどのように介護してもらいたいか。
  • 介護が必要になったら、どこに住むか(できる限り今の住まいに住み続けるか、介護施設等に住み替えるか)。
  • 近隣や地域とどのように関わっていくか。
  • 今後の生活に係るマネープラン、資産の残し方。
  • (住み替え希望の場合)いつ住み替えるか(早めに住み替えをして、そこでAging in Place を実現することも考えられます)。
  • その他

その上で、そのニーズの実現可能性について検討します。

  • 住まいの耐久性、リフォームプラン
  • リフォーム費用、(住み替え希望の場合)住み替えた場合の費用
  • 家族関係、相隣関係(お子さまなどご家族との同・近・別居、地域交流の状況等)
  • 地域の医療・介護の状況(病院、在宅診療、在宅介護サービス、介護施設等の状況等)
  • 周辺地域の状況(自然環境、外出環境、交通利便性、生活利便施設等)
  • その他

このようなご希望と実現性を勘案し、今後の住まい方につき判断することとなりますが、主な選択肢としては以下の3つが考えられます。

住まいの選択

選択肢1

  • できるかぎり現在の住まいに住み続ける。
  • 心身の状況や生活環境、世帯構成等の変化に応じ、リフォームや、減築によるダウンサイジング、2世帯住宅への増改築を行う。

選択肢2

  • より安心・安全な住宅、利便性の高い住宅(例えば駅近のマンション、自立者向けの高齢者住宅)に早めに住み替える。
  • 身体の状況が大きく弱化した場合には、介護施設や介護に特化した高齢者住宅等への住み替えを想定する。

選択肢3

  • 心身の状況が弱化した場合にも、最期まで住み続けられる高齢者住宅(例えば介護型高齢者住宅、終身居住の保証された自立型の高齢者住宅)等に住み替える。

本稿では、「幸齢住宅」の実現に向けた計画づくりについて、重要性と概論のみ示させていただきましたが、実際には個々の方の状況に応じてさまざまな計画が考えられます。当社では、計画づくりのご提案から実現に向けて、さまざまなお手伝いをさせていただきます。

ページ最上部へ戻る