第10回 心のふるさと賞

(敬称略)

【選評】穂村 弘

 活気に溢れた夕張で活躍したトロッコ電車。そんな「人車」も石炭産業の衰退に伴ってヤマごと消えてしまった。なんという大きな喪失体験か。でも、だからこそ、記憶の風景がこんなにも生き生きと描かれているのだろう。

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最盛期には人口10万を超える賑やかな街だったふるさと夕張。山裾から山頂近くまで居並んだ家々の灯りが作る夜景は、昭和30年代当時、函館よりも豪華で美しかったかもしれません、と語る大平さん。その一番上のあたりにお住まいだったとのこと。「人が住んでいるからこそ『ヤマ』と書きました。いまは何も無い『山』です」その言葉の重みが心に染みる今。夕張には、かつての活気を伝え残すことにもっと頑張ってもらいたい、そのために私も働きかけをしていきたい、と頼もしく宣言される姿がまさに「わたし遺産」の未来への思いを象徴しているかのようでした。

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