第3回 大賞作品
お正月の祝い膳 阪口 寿彦 (京都府 73歳)

人と人との心を結ぶ
選定委員:栗田 亘(コラムニスト)
この元旦、阪口寿彦さんは勤務先の東京から戻った息子さんと、例年のように祝い膳で新たな年を賀しました。亡くなった奥様の陰膳も置かれました。
デパートのお節(せち)に加えて阪口さんは家族の好みの干し椎茸(しいたけ)の含め煮、大根と人参の紅白なます、たたきごぼうなどを作りました。お雑煮は白味噌仕立て。具は里芋(さといも)、祝い大根、金時人参(にんじん)、丸餅(まるもち)です。
父と子は、ポツリポツリと言葉を交わしたとか。オヤジとセガレの間柄なんて、そんなものだとボクは思います。必ずしも冗舌には、ならない。でも、お互いに顔を見れば、気持ちは十二分に通じたに違いありません。
手紙からメールへ。固定電話から携帯・スマホへ。人と人を結ぶ手段は、ぐんと便利になりました。でも、人と人の心の距離は縮まったでしょうか。
互いに顔を見て、互いに言葉を交わす。―祝い膳の話を通じて、そのことの大切さをあらためて思います。
阪口さんが続けているお正月の習慣は、いかにも自然体です。子ども時代からの長い体験が、そうさせているのでしょう。継続は力なり、です。
人と人とは、どんなに親しくても、いつかは別れなければなりません。だから、会えるうちは、直接、できるだけ会ったほうがいい。顔を見て、言葉を交わす。そんな機会が長く続けば、とても素晴らしい。
祝い膳の話は、一つの例ともいえます。ただし、とびっきり素敵な例ですね。
デパートのお節(せち)に加えて阪口さんは家族の好みの干し椎茸(しいたけ)の含め煮、大根と人参の紅白なます、たたきごぼうなどを作りました。お雑煮は白味噌仕立て。具は里芋(さといも)、祝い大根、金時人参(にんじん)、丸餅(まるもち)です。
父と子は、ポツリポツリと言葉を交わしたとか。オヤジとセガレの間柄なんて、そんなものだとボクは思います。必ずしも冗舌には、ならない。でも、お互いに顔を見れば、気持ちは十二分に通じたに違いありません。
手紙からメールへ。固定電話から携帯・スマホへ。人と人を結ぶ手段は、ぐんと便利になりました。でも、人と人の心の距離は縮まったでしょうか。
互いに顔を見て、互いに言葉を交わす。―祝い膳の話を通じて、そのことの大切さをあらためて思います。
阪口さんが続けているお正月の習慣は、いかにも自然体です。子ども時代からの長い体験が、そうさせているのでしょう。継続は力なり、です。
人と人とは、どんなに親しくても、いつかは別れなければなりません。だから、会えるうちは、直接、できるだけ会ったほうがいい。顔を見て、言葉を交わす。そんな機会が長く続けば、とても素晴らしい。
祝い膳の話は、一つの例ともいえます。ただし、とびっきり素敵な例ですね。