2月13日は皆さまご存じの通り、「NISAの日」です!(ご存じだったでしょうか・・・?)

また、今年は日本でNISA制度がスタートしてから記念すべき10周年かつ、新しいNISAとしてリスタートを切った年でもあり、今回のコラムは何かとNISAに縁のあるタイミングとなりました。

そこで今回は、これまでのNISAの歩みを振り返りながら、新しいNISAの活用可能性について解説させていただきたいと思います。

これまでのNISA制度とその普及は?

NISA制度は、少額からの投資を行う方のために2014年1月にスタートした「少額投資非課税制度」です。イギリスの税制優遇措置であるISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)をモデルにした日本版ISAとして、NISA(Nippon Individual Savings Account)という愛称がつけられました(金融庁HPより(※外部サイトへ遷移します。))。

その後、2016年から未成年の方を対象とした「ジュニアNISA」がスタート、2018年からは「つみたてNISA」がスタート、そして2024年からは、これまでのNISAが大幅に見直され、ある種生まれ変わった新制度としてスタートしています。

では10周年という節目の年を迎えたいま、日本ではどれくらいNISAの活用が広まってきているのでしょうか?2014年の制度導入時点から、直近2023年9月までの「NISA口座数」と「NISA口座での買付額(累計・年間)」を金融庁の統計データをもとに集計してみました(図表1)。

集計したデータを見てみると、制度がスタートし1年が経過した2014年末時点では「NISA口座数」が825万口座だったものが、2023年9月時点では2139万口座と約2.6倍、増加していることがわかります。また、「NISA口座での買付額」についても2014年末時点では2兆9,770億円だったものが、2023年9月時点までで累計35兆175億円と約11.8倍に、年間での買付額も4兆円を超え、口座数・買付額共にこの10年間で大きく成長を遂げていることがわかります。

図表1 NISA口座数とNISA口座での買付額の推移

(出所)金融庁「NISA・ジュニアNISA口座の利用状況調査」より三井住友トラスト・資産のミライ研究所作成
*値はNISA(一般・つみたて)・ジュニアNISAの口座数・買付額を合算したもの

世間におけるNISAの認知度と活用状況は?

ここまでのデータを見ると、NISA制度は資産形成における税制優遇制度として、導入から10年のうちに活用が進んできていることを読み取ることができますが、一方でNISA口座は1人1口座しか持てないという特性を踏まえると、国民全体の約6人に1人くらいの割合でしかNISA口座が開設されていない、ということもわかります。また、口座だけは作成したものの活用はしていない、といった方も一定数いることを想定すると、「NISAは実際のところどの程度、世間に浸透しているのか」といった疑問が湧いてきます。

2023年にミライ研で実施したアンケート調査(対象:11,190名)では、「資産形成制度の認知度と利用状況」についてお伺いしており、その中のNISA制度に関する部分を見てみると、認知はしているものの、利用はしていないというケースがまだまだあることを見て取ることができます(図表2)。「NISA・つみたてNISA」の認知度自体は回答者全体の約半数近くになるものの、実際に利用されている方の割合は、認知されている方のうち、それぞれ20%前後(NISA利用者:1,057人、つみたてNISA利用者:1,194人)という結果となりました。

この結果からも、制度導入当初から普及は進んできているものの、更なる普及の余地はあるようにも感じます。

図表2 NISA制度の認知度と利用状況

(出所)三井住友トラスト・資産のミライ研究所「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2023年)をもとにミライ研作成
*回答者:11,190人
*ご利用になっている制度:「資産形成に向けた取り組みあり」の方を対象(7,445人)

今からでも遅くない!NISAを活用してコツコツつみたて

今回のNISA制度の改正では、これまでの時限措置的な側面は見直され、非課税期間は無期限に、個人の非課税枠も拡大、また再利用が可能となった点からも、一生涯活用していくことのできる税制優遇制度となりました(以下にポイントを簡記)。

Point1 投資可能期間及び非課税期間が無期限に Point2 年間投資枠が360万円に拡大 Point3 合計1,800万円まで非課税で保有可能 Point4 非課税枠は再利用が可能に

資産形成のために利用する制度として、非常に使い勝手がよくなり、これをきっかけにNISAを活用して積立投資を開始してみようと考えられている方も多くいるかと思います。

その一方で、「もう今からでは遅いかな」と考えられる方もいるかもしれませんが、どの年代であっても、今から積立を開始して遅いということはありません。

(図表3)は毎月3万円を年率3%で運用しながら積立を65歳まで継続した際のシミュレーションです(運用商品によっては元本割れのリスクもあります)。確かに25歳の早いタイミングから開始をすると結果として大きな額を積み立てられますが、40歳、55歳のタイミングでスタートをしてもシミュレーション上では運用の効果は十分得られます。

(図表3)(スタート年齢別)毎月3万円積立、年率3%で
運用を65歳まで継続した場合

(出所)三井住友トラスト・資産のミライ研究所作成
*本資料は商品の利回り等を保証・示唆するものではありません。また、税金・手数料等は考慮していません。本資料での運用結果の数値は、複利方式による試算に基づく概数を示したものであり、正確な数値を示したものではありません。本資料は一定の運用条件を前提として試算したものであり、運用条件の変化等により試算結果は異なるものとなることから、将来の結果を保証するものではありません。
*万円未満切り捨て

運用の期間が長くなるほど、「複利」の効果を受けられる期間が長くなるため、メリットは大きくなりますが、いつからスタートしても遅すぎるということはありませんので、現状まだ取り組みをされていない方は本コラムをきっかけに、NISAを活用して積立投資を検討されてみてはいかがでしょうか?

《本資料は執筆者の見解を記したものであり、当社としての見通しとは必ずしも一致しません。本資料のデータは各種の情報源から入手したものですが、正確性、完全性を全面的に保証するものではありません。また、作成時点で入手可能なデータに基づき経済・金融情報を提供するものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資に関する最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようにお願い申し上げます。》

「三井住友トラスト・資産のミライ研究所」は、人生100年時代に適応した資産形成や資産活用に関する調査・研究を中立的な立場で発信することを目的として、2019年に三井住友信託銀行内に設置した組織です。人生100年時代を安心して明るく過ごすために、資産形成・資産活用に関する情報をホームページや書籍を通してお届けしています。

今週の執筆者桝本 希ますもと のぞみ

三井住友トラスト・資産のミライ研究所 研究員
2015年に三井住友信託銀行入社。奈良西大寺支店にて個人のお客さまの資産運用・資産承継に係るコンサルティング業務に従事。2019年よりIT業務推進部にてマーケット事業で利用するシステムの開発・保守業務を担当し、2022年より現職。現職では幅広い世代に対して資産形成、資産活用に関する調査研究並びにホームページやYouTubeを通して情報発信を行っている。

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