「4年ごとにやってくる、
2020年の注目イベント:
米大統領選挙」

2019年12月25日

「4年ごとにやってくる、2020年の注目イベント:米大統領選挙」

「来年、4年おきにやってくるものというと・・・うるう年、夏季オリンピック、そして、米大統領選挙」――。

2020年の注目イベントというと、東京オリンピック・パラリンピックがすぐに頭に浮かびます。しかし、来年の金融市場を予測するためには、米国の大統領選挙が最大の不確実要素となっています。前回2016年の大統領選挙でも、事前の世論調査があてにならなかったことを覚えている方もいらっしゃるでしょう。世論調査ではヒラリー・クリントン候補が優勢でしたが、開票してみるとトランプ氏が当選しました。結果が判明した時の金融マーケットの反応は激しいものでした。トランプ氏優勢の報道で、当初は彼の政策への不安感から株価下落・ドル安円高に動いていましたが、しばらくすると、規制緩和・減税方針に注目が集まり、それらの動きは反転して株価急騰・ドル高円安が進みました。

2020年も米大統領選挙は最大の注目材料に。

米大統領選挙では、通常、現職が有利と言われます。しかし、歴代大統領が常に再選されてきたかというと、そうではありません。ニクソン大統領以降では、カーター、ブッシュ(父)の両氏が再選されていません。

(図1)米大統領の第1期の支持率推移

(図1)米大統領の第1期の支持率推移

(出所:Gallupのデータより作成)

図1にあるように、再選されるかどうかは、大統領就任以降の支持率を見ると、選挙年に入って支持率が上昇するか低下するかで、判断できます。再選される大統領は就任3年目が終わるころに、支持率が上向きます。一方、再選されなかった大統領は、支持率が下向きになっています。

トランプ大統領は、歴代大統領と異なり、支持率がほとんど変わりません。支持する人はとことん支持し、支持しない人は何があっても変わらない、ということでしょう。まさに、米国社会の分断がここに表れています。

民主党の大統領候補が誰になるかにもよりますが、2020年の大統領選挙は、結果を見越した積極的な行動は取りにくくなるでしょう。

一方の民主党の候補はまだ混戦状態です。図2は、「Predictit(プレディクトイット)」という様々な予想を取引する市場における予想確率です。

(図2)民主党の大統領候補の予想確率

(図2)民主党の大統領候補の予想確率

(出所:Predictit・Bloombergのデータより作成)

中道派のバイデン氏が一歩リードという状況ですが、まだまだ分かりません。

2020年2月3日のアイオワ州を皮切りに、各州で予備選・党員集会が実施されます。2016年にトランプ氏が共和党候補を確実にしたのが5月4日、ヒラリー・クリントン氏が民主党候補を確実にしたのが6月6日でした。2020年も5月頃が、民主党候補が決定的になるタイミングと見込まれます。

急進左派のサンダース氏やウォーレン氏が選ばれると、株価急落・ドル安が警戒されます。今のところは、中道派のバイデン氏がメイン・シナリオとみてはいますが、大統領選挙の本選を含め、米国社会の分断を大統領選挙の結果予想に反映することは至難の業です。

米国を中心に、世界経済は持ち直すと予想していますが、米大統領選挙が積極的にリスクをとることを難しくする可能性が高く、政治問題で金融市場の視界不良に引き続き悩まされそうです。

(三井住友信託銀行マーケット企画部 瀬良礼子)

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