人生に「余り」は無い -インドの孤児支援に毎日を捧げる-

新潟県で非営利団体、「教育と環境の『爽(さわやか)』企画室」を運営する片桐和子さん、昭吾さんご夫妻。定年後に輝く「いま」をご紹介します。

インドで見た子どもたちの現実

片桐さんご夫妻は退職後の1998年、二人で参加したNGOのスタディツアーでインドを訪れ、衝撃的な場面に遭遇しました。

深夜、とある駅に着き、真っ暗な中、昭吾さんの足元に何かがぶつかりました。月明かりによく見ると、それは薄い布切れにくるまった子どもで、恨めしそうな目つきでこちらを見上げていました。インドの駅には身寄りのない子どもたちが数多く住み着いていたのです。貧困や危険にさらされ、未来の希望を持てない子どもたち。

「見てしまった以上、この子たちを放ってはおけない」と、片桐さんご夫妻は、その後の人生を、インドのストリートチルドレンの支援に捧げることを決意したのです。

お話を伺った片桐和子さん(右)、昭吾さん(左)ご夫妻 お話を伺った片桐和子さん(右)、昭吾さん(左)ご夫妻

「子どもの憩いの村」計画、始動!

その後、参加したスタディツアーを案内してくれたインドの現地NGOに相談して、インド東部のビシャカパトナム市郊外に、「子どもの憩いの村」の建設計画がスタートしました。

まずは子どもたちが安心して眠れるホーム1棟と、温かい食事が食べられる台所がある施設を2003年に建設。宿泊所の追加、農園、職業訓練所、瞑想堂、診療所、図書館など計画を広げ、苦労しながら一つひとつ実現していきました。

2014年には「子どもの憩いの村」は約5万8千平方メートルの面積を持つ、子どもたちの暮らしを丸ごと支える施設となりました。

さらに、子どもたちが職を選び、貧困から抜け出せるよう、2012年には州政府認可学校を設立し、2013年~2014年には学校給食プロジェクトやグラウンドの建設を進めました。

自らの手で困難を切り拓く

当初、ご夫妻が支援にあてていた貯金や退職金はあっという間に尽きてしまい、新潟県内の企業や友人知人に300通の手紙を書いて支援を求めました。

しかし返事がきたのはたったの1通。これは自分でやるしかない、と、昭吾さんは夜間の警備員の仕事に就き、和子さんは、バザーなどでお金を集め、支援をお願いして回りました。以来、昭吾さんの給料150万円と、年金などから200万円、合わせて毎年350万円をインドの子どもたちのために送っています。

「日本のおじいちゃま、おばあちゃま」と慕ってくれる子どもたちの笑顔がご夫妻の支え。奮闘の結果、支援の輪は少しずつ広がり、2014年時点で、約130人の子どもたちがこの施設で暮らし、学んでいます。困難もあきらめなければ何とかなると、とてもパワフルで前向きなお二人。ご夫妻の奮闘はこれからも続きます。

コンクリートでできた立派な校舎 コンクリートでできた立派な校舎

信念があれば何でもできる -片桐ご夫妻の言葉から-

夢ふくらますコーヒータイム

忙しい毎日のなかで、朝10時のコーヒータイムは大切な時間。この時間は主に彼女がアイデアを語り、話し始めるとどんどん夢が広がってくるんです。初めはできっこないと思うようなことでも、毎日ずっと聞いていると不思議とできるような気がしてくるんです。次から次へと夢を語る彼女は、かつての18歳の頃と変わりません。(昭吾さん)

今の夢は、日本とインド双方の若者を行き来させて、もっと交流できるようにすることです。(和子さん)

私は、学校に公認(400m)のグラウンドを造って、そこからオリンピックの選手を育てたいですね。(昭吾さん)

敷地の一角のグラウンド予定地 敷地の一角のグラウンド予定地

生きている限り夢に向かい続ける

「余生」って余りの人生。余りなんてありません。生きている限り現役です。私にとっては自由にやりたいことができて、今が一番幸せです。また、同世代の方には、趣味を楽しむのもいいけれど、その中にほんの少し、人のためを思うことを加えていただければと思います。(和子さん)

路上暮らしの頃は夢がなかった子どもたちが、「子どもの憩いの村」に来てから医者や教師、大統領になりたいと夢を語るようになりました。私たちも「やればできる!」という信念を失わなければ、いくつになっても、何でもできるんです。(昭吾さん)

教育と環境の「爽」企画室新規ウィンドウで開く(外部のウェブサイトに遷移します)

ストリートチルドレンに捧げるセカンドライフを紹介 新潟支店

新潟支店では、片桐様ご夫妻が主宰する非営利団体「爽」企画室の活動を、地元の新聞で見つけ、心を動かされた職員がお願いして、店頭ロビーで紹介させていただきました。

セカンドライフをインドでの社会貢献活動に捧げる片桐様ご夫妻の活動は、サクセスフル・エイジングをまさに体現する取り組みとして、お客さまにも好評でした。

ロビーにはインドの子どもが描いた絵や文字も展示しており、お客さまからは「心を和ませる取り組みですね」とのお声がけをいただきました。定年後の方の活動ということから、熱心にパネルをご覧になるお客さまが多くいらっしゃいました。2012年の冬には新潟中央支店と共同で、「子ども憩いの村」に送るクリスマスプレゼントの収集にも協力させていただきました。子どもが大きくなり家庭で使わなくなったおもちゃや衣類、靴などを募り、大きなぬいぐるみやTシャツ、グローブなどたくさんのプレゼントが集まりました。インドの子どもたちが喜んでくれることを心から祈っております。

ページ最上部へ戻る