1万人の1万円を!

ナショナル・トラスト発祥の地・英国では「1人の1万ポンドより、1万人の1ポンドを」が合言葉となっています。特定の大口寄付だけに依拠せず、小口でも多くの人びとから寄付を集めることで100年もの間、活動を継続できたのです。

日本においても同じことがいえます。もし、1万人が1万円を寄付すれば1億円になります。毎年これだけの資金があれば、一定規模の自然地を計画的に購入し、多くの野生生物を絶滅から守ることができるでしょう。

しかも、たとえ1万円であっても、場所によっては大邸宅を建てられるくらいの面積の土地を買うことができます。逆説的ですが、都会から離れるほど自然は豊かになり土地は安くなるので、生き物を守る観点からは1万円の価値は上がるのです。

1万円で、買い取り、保護できるのは・・

(2011年9月現在)

土地をそのまま寄贈することも可能

ナショナル・トラストの目的は自然地をそのまま残すことです。お金で土地を購入する以外に、自然地を保有する個人や法人がその土地を寄贈することも可能です。

保有不動産を「社会の財産」として活用したい

「この自然が将来の人びとのためになり、本当にうれしい」。兵庫県在住のAさんは、保有していた石川県穴水町の約20ヘクタールの森を「能登・トキの森トラスト」として寄贈されました。穴水町は1971年まで本州最後のトキ「能里(のり)」が生息し、2010年に佐渡で放鳥された一羽も舞い降りた地でもあります。

全国各地に不動産を保有するAさんは、この土地を「社会の財産」と考え、ナショナル・トラストへの寄贈を決意されました。

40年前に別荘地として買ったが…

Bさんは、ご主人が亡くなった後、別荘用地として沖縄・宮古島の約1ヘクタールの森を購入していたことを思い出しました。しかし、もはやBさんには、別荘は必要ありませんでした。

そこで、南国の美しい自然を未来に引き継げないかと考えられ、調査したところ、東南アジアから渡ってくる絶滅危惧種のサシバ(タカの一種)が羽を休める中継地として貴重な森であることが分かったのです。

Bさんは、この森を寄贈。「宮古島サシバの森トラスト」として永久に保護されることになったのです。

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