三井住友信託銀行では2012年より、SDGs教育メディア「SDGs. TV」を運営する株式会社TREEと協働し、次世代を担う子供たちに向けたESD(持続可能な開発のための教育)プロジェクトに取り組んでいます。

第17回目となるESDプロジェクトは、福岡県北九州市にある学校法人鎮西敬愛学園 敬愛小学校4年生に向けて、「地球とわたしたちの10年後を想像したSDGs授業」を提供しました。これは、SDGs未来都市 北九州市から「小学校におけるICT教育」のモデル授業を発信することを目指した企画です。前回に続き、今回のESDプロジェクトも新型コロナウイルス感染拡大を考慮し、打ち合わせから授業実施当日まで完全なリモート形式で行いました。

プロジェクトの概要

敬愛小学校は、2014年度から1人1台のiPadを導入し積極的にICT教育を進めている私立小学校です。
本プロジェクトでは、「SDGsを知識のみ習得するのではなく、ジブンゴトとして捉えることができるようにする」をゴールとして設定しました。

まず、小さな生きものを題材としたオリジナルの映像教材(目標12「つくる責任 つかう責任」と、目標14「海の豊かさを守ろう」)を提供し、映像作家との対話等を通して、児童の皆さまがSDGsについて考えるきっかけとしました。

その後、チームごとに関心のあるSDGsのゴールを選び、調べ学習等を通してオリジナルの動画作品を制作し、最後は、その動画作品を利用した保護者向けのプレゼンテーションを行うこととしました。

小さな生きものの声から考える映像授業

1学期は、映像教材の「シナリオ」をもとに、「食品ロスを減らすためにできること」、「豊かな海を守るためにできること」について、保護者へのインタビューや調べ学習を通して、子供たちがプレゼンテーション発表を行いました。

そして、2021年9月10日(金)、緊急事態宣言下で在宅学習中の児童と学校、そして、映像作家 増田達彦氏をオンラインでつなぎ、増田氏が制作したオリジナルの映像教材の視聴や制作者のメッセージを通して、SDGsについて考えを深める特別授業を行いました。

児童の皆さまからは、「10年後のことを考えたら食べものを残せないと思った」、「生きものの目線で映像を見るとプラスチックごみの問題点がよくわかった」といった感想が上がり、質疑応答の時間には、時間内に収まらないほどの質問チャットが次々に送られてくるなど、関心の高さが伺えました。今回の授業では、映像作家の増田氏から直接、映像の表現や伝達の意図について学び、映像を制作する際に重要な「つくり手としての視点」についても学ぶことができました。

学校再開後、児童2~3人が1チームとなり、関心の高いSDGsの1つのテーマについて自分たちが調べたこと(現状・課題・解決方法、自分たちができること)を動画作品にまとめていきました。分かりやすい言葉使いや著作権にも注意しながら、短くてメッセージ性のある動画作りに励みました。途中、担任以外の先生にもアドバイスをもらい、保護者向けのプレゼンテーションに向けた準備を進めました。

「Keiai EXPO」プレゼンテーション発表

2021年10月16日(土)、「keiai EXPO」が開催されました。これは、各学年がこれまでに学んだ成果をプレゼンテーション発表する場で、4年生は「10年後の未来に向けて 今 伝えたいこと」 と題し、自主制作した動画作品を用いて保護者に発表しました。計16チームが選んだテーマは、地球温暖化問題、プラスチックごみ問題、貧困問題、持続可能な街づくりなど多様でしたが、いずれも具体的な数字やエビデンスから現状と課題を認識し、自分たちが考える解決策を分かりやすくまとめていました。

児童の皆さまからは、「SDGsを知ったおかげで地球の問題がたくさんあることに気づいた」、「調べれば調べるほど世界の深刻な状況が分かった」、「もっと社会に目を向けて理解を深めたい」、「お母さんたちに伝えることができたのでより多くの人に問題を知ってもらう、取り組んでもらうきっかけができた」等の感想が寄せられました。また、「Keiai EXPO」に参加された保護者からは、「映像づくり頑張りましたね、とても分かりやすかったです」、「自分にできることがたくさんあったので取り組もうと思います」等の感想が寄せられました。

プロジェクトを終えて

1学期から「Keiai EXPO」に至る一連の流れは、SDGsに関する映像を活用しながら「心を育む教育」に取り組むという初の試みでしたが、敬愛小学校4年生の皆さまには、身のまわりの生きもの、森、海、社会、教育などに目を向けることの大切さや、誰にどのように伝えたらよいかについて学ぶ時間を提供できたのではないかと思います。

このプロジェクトを通じて、次世代を担う子供たちが、SDGsの掲げる目標や社会の課題を「ジブンゴト」として体感したことを契機に、今後も課題解決について自ら考え、具体的な取り組みを進めてもらうきっかけになれば幸いです。

三井住友信託銀行では今後も、SDGsの目標達成に向けた取り組みと、ESDの推進に努めてまいります。

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