ポジティブ・インパクト・ファイナンスの取組み事例(住友林業株式会社)
2020年3月
ポジティブ・インパクト評価(要約)
住友林業は、「経営理念」を最上位概念として、サステナビリティを具現化する行動と考えを示す「行動指針」及び「倫理規範」を策定し、それらに基づき「環境方針」等のサステナビリティ関連方針や各種ガイドラインを制定している(図表①、②)。
住友林業は、2019年度からの3年間を対象とする「住友林業グループ中期経営計画2021」を策定し、4つの基本方針の1つとして「事業とESGへの取り組みの一体化推進」を掲げ、「中期経営計画サステナビリティ編」を策定している。その中では、ステークホルダーの関心が高く経営戦略上も重要な5つの「サステナビリティに関する重要課題」をバリューチェーン全体で特定し、それらに基づく15項目の定性目標と対応する2021年度までの数値目標を設定している(図表③)。これらの目標は、管理部署の年度活動方針や施策に落とし込まれており、各目標の進捗や達成状況については、執行役員兼務取締役及び各本部長から構成され、執行役員社長が委員長を務めるESG推進委員会を年4回開催して確認し、その議事内容を全て取締役会へ報告することで、PDCAサイクルを回している。
本評価では、住友林業の事業活動全体に対する包括的分析を行い、「持続可能性と生物多様性に配慮した調達」、「事業活動における環境負荷の低減」、「多様な人材が活躍できる職場」、「持続可能な社会を実現する製品・サービス」の4項目のインパクトを特定し、各インパクトについて目標及び指標(KPI)を設定した(図表④)。
図表①:経営理念と行動指針

図表②:サステナビリティ推進体制

図表③:マテリアリティ

図表④:ポジティブ・インパクト・ファイナンスで設定した目標と指標(KPI)
テーマ | 内容 | 目標と指標(KPI) | SDGs |
---|---|---|---|
持続可能性と生物多様性に配慮した調達 |
|
|
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
事業活動における環境負荷の低減 |
|
|
![]() ![]() ![]() ![]() |
多様な人材が活躍できる職場 |
|
いずれも2021年度目標 |
![]() ![]() ![]() |
持続可能な社会を実現する製品・サービス | 「木」を軸とした様々な事業活動から「価値創造プロセス」を構築して「持続可能な豊かな社会の実現」に貢献する。各事業において以下3項目の方策を推進する。
|
|
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
※ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス
上記KPIのモニタリング
開示資料
テーマ | 目標と指標(KPI) | 2019年度実績 | 2020年度実績 | 2021年度実績 | 2022年度実績 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
当初 | 2023年2月更新(※) (2022年度実績よりモニタリング実施) |
||||||
1 | 持続可能性と生物多様性に配慮した調達 |
|
|
221,101ha | 221,644ha | 221,971ha | 231,153ha |
|
|
7,770ha 414万本 |
3,263ha 213万本 |
5,850ha 390万本 |
753ha 188万本 |
||
|
|
1,112,224t | 1,465,901t | 1,863,870t | 1,648,729t | ||
|
― | 89.8% | 94.6% | 97.8% | ― | ||
― |
|
― | ― | ― | 100% | ||
|
|
424,000本 | 416,000本 | 465,000本 | 521,000本 | ||
2 | 事業活動における環境負荷の低減 |
|
スコープ1・2 排出量 |
380,641t-CO2e (+2.9%) |
370,526t-CO2e (+0.2%) |
370,772t-CO2e (+0.3%) |
355,928t-CO2e (▲3.7%) |
|
|
|
|
|
|
||
|
産業廃棄物最終処分量 2024年度:19,905t(2021年度比▲5.4%) |
55,515t | 40,548t | 21,050t | 24,294t(2021年度比+15.4%) | ||
3 | 多様な人材が活躍できる職場 |
|
|
86% | 97.3% | 98% | 97% |
|
|
100% | 100% | 100% | 80.6% | ||
|
|
|
|
|
|
||
(いずれも単体) |
|
|
|
|
|
||
|
|
|
|
|
|
||
|
|
|
|
|
|
||
4 | 持続可能な社会を実現する製品・サービス |
|
|
815.3万t-CO2e ( |
831.1万t-CO2e ( |
899.2万t-CO2e (+1.1%) |
855万t-CO2e ( |
|
|
|
|
|
|
||
|
|
193,072t-CO2 |
185,715t-CO2 |
192,194t-CO2 |
|
||
|
|
56.8% | 56.8% | 58.9% | 57.9% | ||
|
|
1,455室 | 1,764室 | 1,764室 | 1,764室 | ||
|
|
219,628世帯分 | 215,768世帯分 | 335,310世帯分 | 746,486MWh | ||
|
- | W30の実現に向けた基本計画の策定 | W30の実現に向けた基本計画の完了 | W70の実現に向けた基本計画における追加検討事項への対応完了 | - | ||
- |
|
- | - | - |
|
※当初目標期限の到来や、同社中期経営計画(2022年~2024年)の策定を踏まえ、目標を見直しております。