ポジティブ・インパクト・ファイナンスの取組み事例(三井化学株式会社)
2020年6月
ポジティブ・インパクト評価(要約)
三井化学は、企業グループ理念「地球環境との調和の中で、材料・物質の革新と創出を通して高品質の製品とサービスを顧客に提供し、もって広く社会に貢献する」に基づいた中長期目標「2025長期経営目標(環境・社会軸)」を策定し、ESG視点で機会とリスクを的確に捉えたサステナビリティ経営を推進している(図表①)。
2018年6月にESGを経営の中核的なテーマとして捉え、社長を委員長とするESG推進委員会と傘下に分科会を設置し、分科会で議論した議題がESG推進委員会にエスカレーションされる仕組みにて運営を実施している(図表②)。
また、三井化学は経済軸、環境軸、社会軸の3つの軸からから重要課題を「当社グループが事業を遂行する上で社会に影響を与える課題」「当社グループが事業を通じて社会に貢献する課題」「基盤となる課題」として整理、長期目標を設定したうえで目標達成に向けた取り組みを進めている(図表③)。
本評価では、三井化学の事業活動全体に対する包括的な分析を行い、「1.Blue Value製品を通じた社会、環境、経済への貢献」、「2.Rose Value製品を通じた社会、環境、経済への貢献」、「3.環境保全(GHG・エネルギー、化学物質等の排出量削減)・化学物質管理」、「4.労働における安全・保安および衛生」、「5.人材活用」の5項目のインパクトを特定し、各インパクトについて目標及び指標(KPI)を設定した(図表④)。
図表①:2025長期経営目標(環境・社会軸)

※2021年6月時点
図表②:サステイナビリティ推進体制

図表③:マテリアリティ

※2021年6月時点
図表④:ポジティブ・インパクト・ファイナンスで設定した目標と指標(KPI)
テーマ | 内容 | 目標と指標(KPI) | SDGs |
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Blue Value®製品を通じた社会、環境、経済への貢献 | 自然エネルギー・非化石原料の使用、製品の軽量化・長寿命化を通じたGHG削減、省エネ・省資源の実現 |
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Rose Value®製品を通じた社会、環境、経済への貢献 | 少子高齢化への対応、健康寿命の延長、食料問題への対応 |
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環境保全(GHG・エネルギー、化学物質等の排出量削減)・化学物質管理 | 省エネルギーの推進、燃料転換、プロセス革新技術の創出 |
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労働における安全・保安および衛生 | 無事故・無災害実現の徹底追求 |
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人材の活用 | 人的生産性・満足度の最大化 |
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上記KPIのモニタリング状況
開示資料
テーマ | 目標と指標(KPI) | 2019年度実績 | 2020年度実績 | 2021年度実績 | 2022年度実績 | 2023年度実績 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | Blue Value®製品を通じた社会、環境、経済への貢献 |
|
18% | 15% | 18% | 22% | 24.0% |
2 | Rose Value®製品を通じた社会、環境、経済への貢献 |
|
16% | 19% | 20% | 21% | 24.0% |
3 | 環境保全(GHG・エネルギー、化学物質等の排出量削減)・化学物質管理 |
|
27.7%
※2005年度比のGHG排出量削減率(本体、国内連結) |
29.0%
※2005年度比のGHG排出量削減率(本体、国内連結) |
21.0% | 27.0% | 25.0% |
|
0.2% | 1.0% | |||||
|
100% | 100% | 100% | 100% | 100% | ||
4 | 労働における安全・保安および衛生 |
|
0件 | 0件 | 0件 | 0件 | 0件 |
|
0.31 | 0.22 | 0.23 | 0.27 | 0.28 | ||
5 | 人材の活用 |
※「女性管理職(課長級以上)比率(本体):15%以上(2030年)」とする目標を2022年度に新設しております。 |
3.0% | 4.0% | 4.0% | 5.0% | 6.0% |
※「従業員エンゲージメントスコア50%以上(2030年)」とする目標を2022年度に新設しております。 |
|
アクションプラン登録率:96% | エンゲージメントスコア:34%(2018年度は31%)
※2021年度はエンゲージメント調査を実施したことから、アクションプラン調査は実施していない。 |
2年に一度の実施のため、2022年度はエンゲージメント調査の実施なし。2023年度より毎年実施する方針。 |
エンゲージメントスコア:36.0% |