ポジティブ・インパクト・ファイナンスの取組み事例(リコーリース株式会社)
2020年12月
ポジティブ・インパクト評価(要約)
リコーリースは、2020年度に「循環創造企業へ」という中長期ビジョンを示し、経営理念の実現に向け、事業活動を通じて社会との共通価値を創造し、サステナブルな社会を目指すための取り組みを推進するという「サステナビリティ経営」を根幹に置いている。
リコーリースは、2020年度に社長執行役員の諮問機関の一つとして、サステナビリティ委員会を設置している。サステナビリティ委員会はサステナビリティ推進担当役員を委員長とし、常務執行役員及びサステナビリティやESG課題に直面する各本部長によって構成され、「マテリアリティの特定」や中長期的テーマである「環境・社会のリスクおよび機会」、「ESG情報開示」などの各施策について組織横断的な議論を行い、戦略施策を可視化し、紐づけた行動を全社に展開することで、企業価値向上を目指している。サステナビリティ委員会での議論は執行役員等で構成される経営会議に具申・報告がなされており、サステナビリティに関する継続的な体制強化及び適切な執行が行われている。
リコーリースは事業活動を通じた社会課題の解決を図ることを目的に、事業ドメインをE:環境循環、S:ソーシャル&コミュニティ、G:ビジネス&ガバナンスの3つに再定義するとともに、サステナビリティ経営加速のために、①クリーンな地球環境をつくる、②豊かな暮らしをつくる、③持続可能な経済の好循環をつくる、④ハピネスな会社、そして社会をつくる、の4つをマテリアリティとして特定している。そして、マテリアリティの具体的な戦略・施策として、中期経営計画の事業ドメイン「E」「S」「G」と非財務の取り組みを統合した「サステナビリティ中期経営計画」を策定している。
本評価では、リコーリースの事業活動全体に対する包括的分析を行い、「気候変動の緩和」、「資源循環」および「ダイバーシティ&インクルージョン」の3項目のインパクトを特定し、各インパクトについて目標及び指標(KPI)を設定した。
なお、リコーリースは2023年4月より新たに3か年の中期経営計画を開始しており、ベンダーリースを軸としたトランザクションデータの活用を通じた企業の成長機会に対する貢献と、事業を通じた社会課題の解決を行うために特定した4つのマテリアリティへの取り組みとの掛け合わせを戦略立案の軸とし、経営理念に掲げる「豊かな未来」への実現を目指している。 新中計では、事業そのものがサステナビリティ経営に資することから、財務と非財務の目標設定を一本化。非財務目標の策定はサステナビリティ委員会において議論が重ねられ、非財務目標の達成を通じて、サステナビリティ経営を推進している(「図表①:中長期ビジョン」、「図表②:サステナビリティ推進体制」、「図表③:マテリアリティ」)。これに伴い、本評価で設定した各インパクトに関する目標及び指標(KPI)(「図表④:ポジティブ・インパクト評価で設定した目標と指標(KPI)」)について、下段の「上記KPIのモニタリング状況」に記載のとおり見直しを実施している。
図表①:中長期ビジョン

(2023年更新)
図表②:サステナビリティ推進体制

(2023年更新)
図表③:マテリアリティ

(2023年更新)
図表④:ポジティブ・インパクト・ファイナンスで設定した目標と指標(KPI)
テーマ | 内容 | 目標と指標(KPI) | SDGs |
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気候変動の緩和 |
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資源循環 | 3Rの推進やリース終了機器の回収拠点増設による資源循環への貢献 |
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ダイバーシティ&インクルージョン | 社員のハピネス値を向上させる人事施策の展開 |
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上記KPIのモニタリング状況
テーマ | 目標と指標(KPI) | 2020年度実績 | 2021年度実績 | 2022年度実績 | 2023年度実績 | |||
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当初 | 2023年12月更新 ※2022年度実績よりモニタリングいたします。 |
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1 | 気候変動の緩和 |
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(a)事業活動におけるCO2排出量削減による地球温暖化の抑制 |
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701t-CO2 |
764t-CO2 |
465t-CO2 |
542t-CO2 |
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(b)環境関連分野の拡大を通じた環境負荷低減 |
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- | - |
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2 | 資源循環 | |||||||
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実績値は対外非開示であるものの、2%以下であることを三井住友信託銀行にて確認済み |
実績値は対外非開示であるものの、2%以下であることを三井住友信託銀行にて確認済み |
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3 | ダイバーシティ&インクルージョン | |||||||
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20.4% | 20.7% | 23.0% | 21.8% | ||||
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